3人で買い物


 --綾香ーー


 みんなでプールに遊びに行ってから3日後の月曜日。私は翡翠ちゃん、若葉さんと一緒に買い物に来ていた。若葉さんとは定期的にこうやって会って色んな話をしている。最近はお互いの彼氏のことだったりするけど元々の目的の”若葉さんのお父さんじゃ教えれないこと”を教える意味もあったけど。


 そしてついでだから今日は翡翠ちゃんにも色々覚えて欲しくて3人で買い物をする流れになったのだ。今日は平日だから冬夜くんはお仕事なのが残念だけど。一緒に服とか選びたかったけどどっちにせよ今日は冬夜くんを呼ばない予定だったしいいということにしておく。


「翡翠ちゃんは相変わらず可愛いねー」

「そうでしょう?」

「なんで綾香がドヤってるのよ」

「翡翠ちゃんは私の子供みたいなものだからね」

「ん、綾香はお母さん」

「翡翠ちゃんしっかり洗脳されてるじゃん」

「若葉さんってどうしていつも言い方が怪しくなるんですか」

「んー、気のせいじゃない?」

「気のせいじゃないです」


 お祭りの時もだったけどこの人はまず言葉の言い回しを教えた方がいい気がしてきた。ほんとに年上?ってなるぐらいの言動が多いし。


「それで綾香、今日はなにを買うの?」

「翡翠ちゃんの服をちょっとみたいのと、若葉さんの下着とかかな?」

「おー」

「若葉さんの多分成長してるもんね」

「よくわかったね」

「こないだ電話できつくなってきたって言ってたでしょ」

「そうだっけ?」

「そうです」


 この人私と電話するときに高確率でお酒を飲んでいるからか大体記憶が残ってない。大事なことは覚えているけど今みたいなことは覚えてないことが多い。


「それじゃ先にどこ行く?」

「んー……下着からみよっか。服買った後歩くのはなるべく短くしたいし」

「おっけー」

「翡翠ちゃんもそれでいい?」

「うん、綾香お姉ちゃんに任せる」

「ここはお姉ちゃんなんだね」


 若葉さんのツッコミもほどほどに私たちは移動を開始した。






「んじゃサイズ見てくるー」

「はーい」


 一応きちんとしたサイズの確認のために店員さんのとこに行った若葉さんを見送り私は翡翠ちゃんと店内を回る。


「私は……まだ?」

「そうだね、翡翠ちゃんはもう少しかな?」


 年齢的にはつけていても問題ないけど体は小学生ぐらいにしか成長していないから翡翠ちゃんはまだ買わなくていいだろう。


「今の間に私のも見とこうかな……」


 若葉さんも大きくなったけど実は私もまだまだ成長中だ。そろそろ止まってほしいけどどうなんだろうか。あんまり大きくなると可愛いのがなくなるし今ぐらいでいいんだけどなぁ……。結局測らず翡翠ちゃんと店内を回る。


「綾香ー、終わったよー」

「いくつでした?」

「C!」

「……数字覚えてますよね?」

「もっちろん」


 元々スレンダーな体型だった若葉さんが今の歳でも成長してると考えるといよいよ私が怖くなってくる。そんな不安を抱きながらそのサイズのコーナーまで行きよさそうなのを探す。


 ここは私がなにか言うようなこともないので大人しく翡翠ちゃんといることにする。ついでに翡翠ちゃんに下着のレクチャーをしておく。


 私のサイズでの説明になったけど多分伝わったかな?といったとこで若葉さんが支払いまで終えて戻ってくる。


「ただいまー……って綾香もしかしてまだおっきくなってるの?」

「そうですねー」

「今でいくつ?」

「FよりのEです」

「でっか」

「もう十分なんですけどね……」


 冬夜くんに揉まれているわけでもないのにまだまだ成長を続けているこの胸はいったいなんなのだろうか。お母さんが大きいからやはり遺伝なのだろうか。だとしたらGは余裕で超えそうだからやめて欲しい。


 大きくなって困るのは足元が見えにくいとかうつ伏せとか仰向けで寝にくいとかあるけど1番はどんどん可愛い下着が無くなることだ。まだ大丈夫だけどね。


 将来冬夜くんを誘惑する時とかはどうせなら毎回可愛いのとか、冬夜くんを興奮させるようなやつを付けたいし。


「翡翠ちゃんは私の味方だよね……?」

「うん……?」

「若葉さん、翡翠ちゃんのお母さんは大きかったですよ」

「うわぁぁぁ!!……世の中は残酷」

「まだ成長してるんだからいいでしょ」


 翡翠ちゃんのお母さんも写真で見た限りそこそこ大きかった。実際のサイズを知らないからなんとも言えないけど。


「さ、時間も限られてるし次行きますよ」


 翡翠ちゃんの手を取って私たちは次の店へと歩き出す。


「綾香は今日服買うの?」

「いいのがあったら、ですね。基本は翡翠ちゃんのを買いたいので」

「……私はこないだ買ったよ?」

「あれはお屋敷用でしょ?」

「……違うの?」

「やっぱりこないだの説明覚えてないなー」

「あうあう」


 翡翠のほっぺをぐりぐりして怒ったフリをする。


「こっちにいると外出が多くなるからもうちょっと欲しいんだよね。だから買うんだよ」

「ふーん」

「逃がさないからね」

「……う」

「若葉さんも味方だから」

「ごめんねー」


 前回は着せ替え人形にしようとして逃げられたが今日は違う。若葉さんにも協力して貰ってしっかりと決めていきたい。


 やってる時は楽しそうにしてたけど家に帰ったら疲れが出たから苦手になったらしい。……運動もさせとくべきだろうか。


 ほんとに親になったような気持ちを抱いて私はショッピングモール内を歩いく。


 それから3人で色んな服を見たり、お昼ご飯を食べたり、おやつを食べたりを充実した1日を過ごした。

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