第62話 新たな召喚獣の検証

 今日は朝からクリスお姉ちゃんの膝に抱えられ、一緒にコーヒータイム中。

 ファッション雑誌を読みながらだから、ショタは邪魔だと思うんだけどな~。



「はぁ~、なんて優雅な朝なのでしょう・・・」

「朝のコーヒーって美味しいよね!」


 ってかクリスお姉ちゃん、昨日の夜からずっと飲んでないかい?


 召喚し直せば飲んだ分が全部ただの水になるのだけれど、実はコーヒーってすごく体に良いらしい。癌になるリスクを下げるとか、糖尿病のリスクを下げるとか。


 これはインスタントコーヒーだから、ドリップコーヒーよりは効力が落ちるだろうけどね。砂糖もいっぱい入れちゃってるし!


 ってことで、コーヒーや砂糖が無くなるまでこのまま放置しとこう。


「会社にいる間、コレが飲めないのは辛いわね~」

「水筒に入れて持って行くとかは?」


 クリスお姉ちゃんの頭から、『!』がピコンと飛び出した。


「それだわっ!」


 膝からショタが降ろされ、クリスお姉ちゃんが携帯用コーヒーを作り始めた。



「あっ、二人だけずるい!私もコーヒー飲んで行こうっと!」

「お母さんの分も作ってもらえるかしら~?」

「はいは~い!」


 洗面所から出て来たティアナ姉ちゃんとお母さんも朝コーヒーに参戦だ!

 なんだかんだで、みんな気に入ってくれたみたい。


 そしてコーヒーを作り始めたティアナ姉ちゃんに、粉の説明をする。


「この黒いのが『コーヒー』で、真ん中のが『クリーミングパウダー』、右のが『砂糖』なの」

「真っ白い粉ってやっぱり砂糖なの!?こんな白い砂糖なんて初めて見たよ!」


 ティアナ姉ちゃんの言う通り、この家にある砂糖は茶色がかっているのです。

 おそらく不純物が完全に除去されてない砂糖なのでしょう。

 きっとお店にも白い砂糖ってのは売って無いんだろね。


「今日から砂糖が使い放題だよ!無くなったらまた呼び出せばいいだけだし」

「ああ、なるほど!昨日クーヤくんがすごく喜んでたのって、これを知ってたからなんだね!」

「うん!」

「このクリーミング?ってのは?」

「クリーミングパウダーだよ。えーと・・・、クリームを粉にしたやつなの」


 この世界にも牛乳らしきモノはあって、クリームもあるのだ。

 当然牛じゃない何か別の動物のお乳なんだろうけど、牛乳って脳内翻訳してる。


「粉のクリームかあ・・・、これも何かに使えそうだよね」

「お菓子とか飲み物とか?何か出来そうだけどよくわかんない」


 ただ粉をオーブンで焼くだけでクッキーとか作れたような気もするけど、美味いかどうかは謎だ。今度試してみよう。



 そんなこんなで朝の優雅な一時を過ごし、リリカちゃんとゲームをしながらタマねえが帰宅するのを待った。




 ◇




 小学校から帰宅したタマねえと一緒に、メルドアの森にやって来た。


『クエクエはお休みだから』とリリカちゃんには伝えてあるので、今頃はモンキーコングで遊んでるに違いない。


 毎日ゲームばかりやってるので、とても将来が心配ですね!全部俺のせいだけど。



「ここなら広いよ」

「よし、ココにしよう!さて、誰から呼び出そうかな?」



 召喚獣リストを開いて、上から順に呼び出して行くことに決めた。

 ちなみにここは森に入ってすぐって感じの場所なので、普通に歩いて来た。



「最初のはあの鳥だな。『レンクルミアトン』召喚!」


 シュッ


 目の前に、顔はイヌワシだけど模様は鷹のような鳥が出現した。


「思ったよりデッカイなーーーーー!」

「格好良い!」


 全長が2メートルもある鳥だからね!立ち姿だとこんなに大きいのか。


 元気な姿を近くで見たのは初めてなので、その凛々しくも可愛らしい風貌に嬉しさがこみ上げてくる。


「けど名前が長くて忘れそうだから、今日からレンクルって呼ぶね!初めましてレンクル!ボクの名前はクーヤだよ!」

「ボクはタマ」


『クアッ!』


 お互いの挨拶も済んだので、召喚獣リストの表示名を書き換えた。



【召喚獣リスト】


 ・カブトムシ(5)[ガジェム]

 ・メルドア     [メルドアジェンダ]

 ・レンクル     [レンクルミアトン]



 これで良しっと!


 ちなみに家電なんかは家電ゾーンに分類してあるから、普通の召喚獣とごちゃ混ぜにはなってない。リストが多すぎて、名前を探すのには一苦労だけど。



「レンクルに乗ったら空飛べる?」

「ん-ーー、重いだろうし危ないんじゃないかな?もっと大きい鳥なら大丈夫かもしれないけど」


 レンクルも人を乗せて飛んだことなんて一度も無いようで、頭を横にコテッと倒して考えている。かわいい。


「どっちにしても今日は他の召喚獣もいっぱい調べなきゃいけないので、そういう実験は今度にしよう。あ、レンクル、体調はどう?ちゃんと飛べる?」


 召喚獣として生まれ変わったばかりなので、何か不具合が発生してる可能性もあるから、ちゃんと調べておかなきゃ。



 バサバサッ!


 羽をバタつかせ、レンクルが空へと舞い上がった。



「うわ~~~!格好良いな!!」

「良い!」



 ただ、ちょっと大き過ぎて、偵察任務にはあまり向いてないかもしれない。


 極秘任務を遂行するなら、もっと小さくて目立たない鳥の方がいいだろう。でも魔物じゃないと召喚獣に出来ないので、小型の鳥の魔物が見つかるかどうかだね。


 でも大きい鳥の方が知性に優れてる可能性が高いので、レンクルは絶対役に立ってくれると思う!それにかわいい。


 普通に元気そうなので、メルドアと同じく戦闘での後遺症とかは無いようだ。

 脳内でレンクルに呼び掛けて、下に降りて来てもらった。



「よし、レンクルお疲れさま!一旦消すね。また後で呼び出すから!」


『クアッ!』


 シュッ


 ってことで、レンクルには召喚獣を保管する謎空間へと帰ってもらった。


 ちなみに謎空間のことはメルドアに聞いたから知ってるんだけど、そこに何があるのかなどの細かいことは記憶に無く、ただ気持ち良くてずっと寝てるらしい。



 さて次だ。どんどん検証して行かないと夕食までに間に合わないぞ!

 

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