第39話 1つめのパンの代価

氷の湖から 命からがら無事に引き上げられて、アリスンは涙を浮かべる

「大丈夫…僕がついてる」「ヨハン」


油紙に包まれほぼ無事だった御菓子に 拾えたリンゴ…荷物を腕にして

今度はアリスンの濡れたブーツや靴下を脱がせて

濡れてなかった彼女のショールを

腰のあたりから足先に巻き、それから彼女を背中におぶり急いで慈善院に

駆けこんだ。


「大丈夫?」

暖かな毛布に包まれ、ホットミルクを飲むアリスンはうなずき…

か細い声で「有難う」と呟くアリスン


僕はそっとアリスンの顔に触れた…

赤い頬、鼻先も少々赤く染まってる 生きているアリスン

そうだ…彼女は 今、生きてる…


僕はそっと彼女を抱き締めた

ポッケの中の砂時計がカチリと音をたてた…


取り出して砂時計を僕は見つめる

何処からか声がした…「一つめのパンの代価」

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