番外編 石像



「エルナさん、ケインさん、クリフさん、おめでとうございます!御三方はSランク冒険者になりました!」


エクレア姉さんがそう言った。

魔王を倒した僕達は、冒険者ギルドにてSランク冒険者の証としてカードを貰っていた。


「「ありがとうございます」」


歴史上、Sランク冒険者は9人しかいない。

今までに魔王は3度現れている。

1度目の魔王は勇者、賢者、氷姫、聖女の4人パーティによって……

2度目は雷神(オルトとは別の)、炎帝(エルファトクレフとは別の)、毒使い、盾使いの4人パーティーによって……

そして3度目は謎の人物が1人で倒したようだ。

その人物はその後どうなったのか明らかになっていないが、たしかに魔王を1人で倒したらしい……

僕達がSランクになったから、これで12人になったわけだが……


「そういえば……ケインさん達の石像が作られるそうですよ?」


「えっ!?」


それは流石に恥ずかしいからやめて欲しいのだが……


「それはちょっと……」


「僕もやめて欲しいですね」


おっと、エレルナとクリフも反対のようだ。


「でももう作り始めているらしいですよ?ほら、あそこに」


エクレア姉さんが指さした方向には確かに白い大きな岩があった。

職人さん達が削っていて、製作途中のようだった。


「その……本人の許可なく勝手に石像なんか作って良いんですか!?」


「それに関しては賛否両論だったみたいですけど……英雄の石像を早く作ろうと早まった町長が職人の方々を読んでしまったみたいですね」


「いや、相談しろって話ですよ全く……」


作り始めてる物を横から壊すのも忍びないしなぁ……


「今回は見逃しますけど…次やったら怒りますから!……と町長に伝えておいてください」


「わ、分かりました…」


こうして僕達は予想外に石像を作られることとなってしまった……



これが約半年前の事……

ケインが縮地にて地球へ旅立って、数ヶ月し、ようやく石像が完成したのだ。


クリフとエルナは早速バレないように変装して見に行った。

なんやかんやで自分の石像は気になったのだ。

完成した石像を見て、エルナ達は呟く……


「こ、これが私?胸盛りすぎじゃない?」


「……僕なんか女の子みたいに彫られてますよ」


そして、ケインの石像は……


「長髪の男にされてますね」


「…似てはいるけど、なんで男?」


こうして英雄ケインは、勇ましい長髪の男だと思われて、後世に語り継がれていくのであった……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る