第25話 買い出し



「えーっと、買い出しって何ですかね?」


僕が尋ねると、エネマが自信満々で答えた。

「買い出しはね、物を硬貨と引き換えに……」


「いや、違う違う。そうじゃなくて、これから何を買いに行くの?」


「あ、あのケインさん?いつも冒険の前ならポーションや松明の買い出しとかしないの?」

サガさんが疑問型で答えてくれた。


「ああ!なるほど。すみません。いつもストックがあったので、冒険の前に買いに行ったりはしてなかったですね」


「え!ストック数が心許ない時とかは……」


「初めに10個買った分から減ってません」


そういえば防具買った時に5個くらいもらったけどな


すると、暫く静聴していたガンジスが初めて口を開いた。


「おいおい、そんな事あんのかよ?じゃあ今までダメージ受けてねぇのか?」


「あ、全く受けないわけでは無いのですが、ほとんど受けてないので、ポーションは使わずに取っておいてますね」


「そりゃすげえや。まだ若いのにCランクな訳だな」


「よく見ると装備も一級品ですね」


「いや、そんな大したことないですよ。今まで戦ってきた相手が弱い奴ばかりだったので」


「それでCランクになれる訳無いですよ。謙遜しないでください」


なんか勘違いされてしまった。

だけど、たしかに普通はある程度ダメージを受ける事を想定するよな。

今までは3個携帯していたが、念のため5個持っておくとするか。






街に買い出しに来た。

それぞれがポーション数個と、暗いところで灯りが取れるよう光合石を買った。

そしたらエネマが服を買いたいと言ってきた。


「どちらにしても探索は明日。私最近依頼で服が破けて困ってた。だからケイン、買いに行こ」


服が破けて……というところで男性陣に反応があったが、見なかったことにしよう。


「なら僕も行きましょう。そういえば今日の惣菜まだ買っていませんでしたから」


「俺も行くぜ。台所のフライパン、この間焦がしちまったからな」


「じゃあ僕も行きます。ちょうど魔導書が欲しかったので」


特に僕は欲しいものはないが……

エネマに誘われてるし、断ったら悪いよな。

そんなわけでお買い物続行だ。






「ケイン?これ似合う?」


「似合ってるよエネマちゃん」


「パウロに聞いてない!」


パウロ振られる。哀れ。


「似合ってるよエネマ」


「じゃあこれにしよ」


独特な服を選んだエネマは、満足そうに会計していった。

皆んなもそれぞれ欲しいものが買えたようだ。


「じゃあ帰ろっか」


「?何言ってるの。ケインの服まだ買ってない」


「僕はいいよ。服に興味ないし」


「可愛い顔してるんだからおしゃれするべき」


うーん。服に金かけるくらいなら装備に金かけたいんだが……


「とりあえず今日はお金持ってないから」


その一言でどうにか逃れられた。


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