第14話 アークデーモン




デーモンを倒す事6時間。

流石にぶっ通しではやらなかったが、かなり倒した。


体力も心配だからそろそろ切り上げるか……と思ったその時。


後ろから剣で切られた。


鎧のお陰でほとんどダメージはないが、一体誰が……

と振り返ると今までよりも一回り大きなデーモンがいた。


「なんだ?お前」


すぐに手に持っていた石を投げた。

いつも通り倒せるかと思っていたが、投石を受けて、ふらついたもののすぐに立て直して、こちらを睨み氷結魔法のフリーズンドライを使ってきた。


必死に避けようとしたが、左足に喰らってしまい、動けなくなった。



仕方が無いので、一か八か剣を全力で投げたら、こちらに向かってくるデーモンは避ける事が出来ず、まともに食らったようだ。


なんだったんだ……こいつは。

明らかに普通のデーモンよりも強い。

靴を脱いで、投げた剣を拾い、トドメを刺そうとしたその時、

デーモンが消えた。


は?倒したのか?


いや、今までのデーモンは倒しても、魔石を落としていた。しかしこいつは落としていない。

……という事は!


不意に後ろから寒気を感じ、反射的にしゃがんだ。


さっきまで僕の頭があった場所を通ったのは、暗黒魔法のダークライン。


しゃがんでなかったら死んでいたかもしれない……


後ろにはさっきのデーモンが、


しかしさっきとは違って怒りが顔に表れている。


……魔法も使えて、ステータスの減少も見られない。


間違いない!こいつ……アークデーモンだ!


アークデーモンとは……Bランク魔物に分類される非常に強力な魔物。


固有スキルの『虚者』を持ち、その効果は2秒の硬直の代わりに瞬間移動が出来る。


これだけでも厄介なのに、ステータスは平均15000。さらに、時間帯によるステータスの減少量は2分の1。

魔法も多用してくると来た。

単独で倒せるとはとても思えない。


撤退したいが、させてはくれないだろう。


すると、アークデーモンが消えた。

と、同時に背中に激痛が走る。


痛い!


さっきよりも強い……まだ本気を出してなかったのか…

剣を振るが、すぐに距離を取られて魔法を撃たれる。


ダメだ……なんとか魔法は避けてはいるが、瞬間移動からの剣撃が避けられない。


デーモン系のは筋力のステータスが低いから、剣のダメージが少ないのが救いだが、このままでは負ける。


何かないか?あいつに勝てる逆転の手。


と考えながら背後から剣で斬られる僕。


やばい!これ以上は本格的にやばい。

次に斬られたらもうまともに動けないかもしれない。

……ん?そういえば奴は攻撃する時いつも僕の後ろに回るな。当然と言えば当然だ。反撃を喰らいにくいし、前に瞬間移動したら斬られるから……


……そうだ!アイツは瞬間移動する際に、2秒間硬直する。それならその瞬間に僕の後ろに思いっきり剣を振るえば……


そう考えて、硬直したアークデーモンを見て、頭で2秒数える。


いち……に!


その瞬間思いっきり背後に剣を回した。

予想通り後ろのアークデーモンにクリーンヒットし、暫く苦しんだアークデーモンは消滅した。

残った魔石を握りしめて呟く。


「全く……割りに合わない仕事だよ」



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