死にかけヤンデレ彼女は最期の耳かきと選択肢を遺して……

//玄関ドア開け


//以下死にかけで息荒く


はぁっ、はぁっ、はぁっ……!


あは、あははは……


ただいまぁ……んふふふ


ごめんねぇ……んふ、しくじっちゃったぁ……


帰ってくる途中で、ね……君を狙う女に、襲われたの……


なんとか応戦、したんだけど……あは、やられちゃった……


んふ、心配、してくれるの……?


やっぱり君は……優しいね……


安心して……君を拘束したまま逝ったりなんて、しないから……


//近づき、ベッド横


でも、私にもあんまり、時間、ないかも……


あは、救急車?


ごめんね……でも、もう助からないよ……


だから、その前に


君に、最期に耳かき、してあげようと思って……


好き、でしょ?


イチャイチャするよりも、ずっと


だから、これだけ、最期に……


それで、あとは君に、任せるから……


それじゃあ、まずは右、するね


そのままで、いいから……


//右耳開始、任意時間沈黙


んふ、ふふっ


楽しかったなぁ……君との時間、すっごく、よかった


君がイヤイヤーって嫌がっても、ここに縛りつけてよかったって思ってるよ


んふふ


君を私が癒して、養って、可愛がれるんだーって思ったら、幸せだったの……


ううん、今も、幸せ……


だって、死ぬ前にもう一度、君の好きなこと、してあげられるから


ねぇ……君もよかった、よね?


んふふ……


//任意時間沈黙


はぁ、はぁ……


くぅ、ぅぅ……


え、えへへ……結構、深くやられちゃったから、痛いなぁ……ふふ


ああ、悔しいなぁ……


君を狙う女なんかにやられるなんて……悔しい、なぁ……


けど……えへ、えへへ


きっちり、やり返してやったもん、ねぇぇ……えへへ


きっと今頃……道端の、くらぁいところで、冷たくなってるよ……


見つかりにくい、狭くて、暗くて、独りぼっちになれる場所に引きずってやったんだぁ……


へへ……ざまぁ、みろ……私を狙うからだ……


私は……世界で一番、大好きな人に看取られて、逝くんだから……


えへへへ……♡


君はぁ……私だけのモノ、だもん……んふ、んふふふ


私だけが可愛がって、私だけが看取ってもらえる……


あはぁ……♡


君を好きになって、よかった……♡


んふ、ふふふ……♡


//任意時間沈黙、右耳かき終了


ん……これくらいに、しよっか


右は、これで、おしまい……


それじゃあ、最後のやつ、やるね……


//近づきながら

お耳ぃ……ふぅ、ふぅ……


//吹込

ふぅーーーーーー、ふぅーーーーーー……♡


んふふ……震えてる……♡


好きだもんねぇ……♡


好きで好きで、しょうがないもんね……♡


じゃあ、あと、反対……を……


えへ、へ……大丈夫、だい、丈夫……だよ……


まだ、もう片方やるくらいは、できる、から……


まだ……まだ、死ねない、よ……


//左へ移動

じゃあ、こっち、を……


はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……


それじゃあ、やるね……


//左耳かき開始、任意時間沈黙


んふ……


愛してる……愛してる、よ……


どんなことよりも、どんなものよりも、愛してる……


君は、私の全部、あげても、足りないくらい、好きだもん……


だから、君を全部、縛りつける代わりに……全部、やってあげるんだもん……


お金も、体も、ご飯も、お風呂も、愛も、全部、全部全部あげたの……


ねぇ……私の愛……わかって、くれた、かな……


えへへ……わかんない、よね……


うん……私も、本当はわかってた……


こんなことしても、私のモノにならないって、ことくらい……


でも、そう思っていたかった……そう、信じたかった……


私がこんなに愛してるのに……君が愛してくれていない、なんて考えたら……


狂いそうだったの……


えへ、えへへへ……


わがままで、ごめんねぇ……


でも、ね


君を監禁したことは……後悔、してないの……


君の本心は、わからない……


けど、本当に幸せな毎日を、くれた、から……


えへ……えへへ……


//任意時間沈黙


はぁ……はぁ……はぁ……


どお……とてもいい、でしょ


最期だから……いつもより、気持ち、よく……


んふ……ふふふ……


あ……目が、見えなくなってきちゃった……


ふふ……身体もあんまり、力、入んない、かも……


でも、まだ、まだ……


ねぇ……最期まで、そばにいてくれて、ありがと、ね……


君は本当に、いい人……


放っておいたら、女の子がいっぱい寄ってきちゃうもんね……


よかった……独り占め、しておいて


お陰で、本当に幸せな毎日、過ごせた、よ……


だから、最後は……選ばせてあげる、ね……


でも、もうちょっと……


もうちょっと、だけ……


//任意時間沈黙


//左耳かき終了


んふ…これで……おしまぃ……


最期の、耳、ふぅ……する、よ……


受け取って……


//弱々しく吹込

ふぅーーーーーー、ふーーーーー……


ん……


これで、もう、思い残すことなんて、ないや……


それじゃあ、これ……あげる


手錠の鍵と……包丁……


もしも、お外に出たかったら……鍵で開けて、お外に出て、いいよ……


私の分まで、精一杯、生きて……


でも……悔しいなぁ……君が他の女に取られて、子ども、作るなんて……


それで、ね……


君がもしも……


私の後を追って、来てくれるなら……


この包丁で、胸を、刺して……


できれば、一緒に来て、ほしいな……


あ……もう、だめ……


ごめ……一緒にいてあげられなくて……


あり、がと……もう一度、君と、愛し合って……


お喋り、して……


大好き……だ、よ……


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る