5th Story
<<ムサシ視点>>
なぜこの男の意識の中にいるのかは分からん。
そしてここが日ノ本でないことも。
しかも俺が依るところの男ダイスはどうやら自分の居場所がなくなってしまったようだ。
死後の世界というモノがこういった異界の若者に依ることなのであれば、儂は甘んじてこれを受け入れ、彼の為に尽くしてやるのが必然なのであろうな。
『さてダイスよ、地の果てに向かうは良いが、路銀は落ち合わせておるのか?』
『あっそうだ、お金が無いや。ムサシさん、少し戦ってもらうこともありますが宜しいでしょうか?』
『戦うとは?果し合いのことか?』
『いえ、冒険者として魔物と戦って頂くのですが。』
『魔物とは魑魅魍魎のことか。』
『その魑魅魍魎というのはよく分かりませんが、大きなクマの化け物とか竜とかですかね。』
『そんなものがこの地にはおるのか。これは腕試しにちょうど良いではないか。ハハハハーーー』
『まあ、戦って頂けるのであれば冒険者ギルドに登録します。
冒険者になれば魔物を倒せばお金を手に入れることができますし、移動したとしても現地の冒険者ギルドで続けられますからね。』
『ならば冒険者とやらになるのが良かろう。』
よくは分からぬが、冒険者というのはどうやら流れの用心棒のようなものらしい。
代官所のようなところに張り出される討伐依頼を達成したり、商人どもの旅の護衛をしたりすれば路銀を稼ぐことが出来るというのだ。
これなら移動しながらでも簡単に路銀も稼げるに違いない。
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