第22話死んでもごめんでしてよ
ああ、コイツのネズミレベルの脳みそだからこそわたくしという婚約者が居るにも関わらず隣国の公爵令嬢を『可哀想だ』という理由で娶って来て、そしてわたくしに対して婚約破棄を告げたのであろう。
その事を、いま会話をして改めて思う。
「いえ、拗ねるも何も、寧ろ今現在では厳しいレッスンや勉強で缶詰にさせられる事も無ければ女だから等と言ってわたくしのやりたい事を妨げられる事もございませんもの。 レオポルト殿下の婚約者であった時よりも今の方が幸せでしてよ」
「まったく、強がりなんか辞めて楽になれば良いのに。 女の幸せは結婚して子供を産み、夫を支える事にある。 男性である俺ですらそのくらいの事分かるんだから女性であるシャルロットならより一層思うところがあるんじゃ無いかな? そして、俺はシャルロットを幸せに出来るだけの地位も名誉も財力も、当然権力もある。 そんな男性を夫に出来る事、そしてそんな男性の子供を授けれる事、何よりそんな男性を支える事が出来るのだぞ? それはきっと女性としてこの国一番の幸せ者になれるという事に他ならない」
ほとんどドストレートな嫌味もポジティブに捉え、まるでグズル子供をあやすかの様な口調で優しく丁寧に能書きを垂れ始めるのだが、そのどれもが犬の餌程にも役に立ちやしないクソみたいな内容ばかりで思わず辟易してしまう。
そもそも、亭主関白を気取りたいのであれば婚約者であったわたくしを何故護ろうとしなかったのだと小一時間問いただしてやりたいくらいだ。
男の責務も果たせていないのにも関わらず、女には理想を押し付けるなど何事か。
逆にこちらが男性の理想を押し付けたら怒るのでしょう?言われて怒る程嫌な事を女性相手にしているという事すら理解できない男性と結婚など死んでもゴメンでしてよ。
コイツからは矢面に立ってでも妻や子供を護ってやるという気概どころか、俺の妻になれるんだから幸せだろ? って内容しか無いではないか。
某亭主関白を宣言する的な昭和の色濃い世代に作られた歌ですら『理想を並べてみたは良いものの出来る範囲でいいし、幸せは二人で作るもので、どちらかが負担するものではない』という内容が含まれているというのにコイツと来たら、ようは『俺が幸せという事は君も幸せ』とでも思っているのだろう。
んな訳があるかっ!!
「………常に自分が正しいと勘違いしている、勘違い男の古臭い考えですわね」
「ん? 何か言ったかい?」
おっと、思わずヒートアップしてしまいましたわ。危ない危ない。
「いえ、何も。 レオポルト殿下の(クソみたいな)お考えはよぉーく分かりましたわ」
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