第168話デメリット
「いや、それただでさえ評判が悪い俺の周囲からの評価がマントルまで突き抜けるレベルで落ちるんだが?」
「周囲の評価など私自身の見る世界を曇らせるだけのものであると教えてくれたのはカイザル様ではないですかっ!! なので大丈夫ですっ!!」
「痛い痛い痛い痛いっ!! ブリジットに殴られた腹が痛いっ!!」
「なので、私を犬扱いして散歩に連れて行って下さいっ!! 後クロード殿下はうるさいので黙っていて下さいっ!! 今私の大事なお願い事をカイザル様にしているのですよっ!? 空気が読めないにも程があるでしょうっ!?」
何だろう? なんかもう色々どうでも良くなってきたというか、考えるのが面倒くさくなってきたというか、これがもしブリジットの戦略であったのだとしたら諸葛亮も仰天の策士であろう。
「……? どうしました? カイザル様。 私と散歩に行きたくなりましたか?」
しかしながら可愛らしくコテンと首を傾げながら散歩をねだるブリジットはどう考えても何も考えてなさそうである。
それよりも、クロード殿下の痛がり方は流石にやばいと思うんだが。
俺みたいにクロード殿下を吹き飛ばしたりしていないのでブリジットは手加減しているとばかり思っていたのだが、これは吹き飛ぶことにより衝撃を受け流すという事ができずに、もろにブリジットの攻撃を喰らった、かなりヤバイ状況なのではなかろうか?
何だろうか? 俺が知らない間に二重の何たるかを極めて衝撃を内部であーだこーだする技を身に付けたのだろうか?
そう考えればクロード殿下の痛がり方も理解ができる。
腐っても皇族であり初期ステータスもそこそこ高いクロード殿下の防御力を突き抜けてもろに臓器を傷つけているのだとしたら、最終的に俺が奴隷の不始末として罰せられるのではなかろうか。
現に未だにクロード殿下は痛がっており、地面をのたうち回っているところを見るに普通の痛がり方ではない事は間違いない。
これは流石にヤバイと、俺は万が一を想定してストレージから回復薬を取り出すと、そのままクロード殿下へとぶっかける。
「カ、カイザル……お前……なんで……?」
「いや、普通に死なれたら困るからだろ」
「なっ、べ、別に優しくしても何もしてあげないんだからなっ!! 馬鹿にするなぁぁぁああああっ!!」
「あっ!? ちょっ!! せめて精霊と契約しているデメリットを聞いてから逃げ出せよっ!! 勝敗が決まる前に逃げ出した場合も当然逃げ出した方にデメリットが発生するんだぞっ!! 精霊契約のデメリットは課金アイテムじゃないと解術できないんだぞっ!! ………………行ってしまった……。 こ、これ俺のせいになるのか? 課金アイテム、この世界にあるのか? 後どさくさに紛れて今ならいけるとさりげなくリードを俺に渡して来ても首輪にリードをつけて散歩は行かないからな」
「そ、そんなっ!?」
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