第166話根性がないぞ
そして俺は、ぶん殴って無駄に顔を抑えながら地面を転がるクロード殿下のところまで行くと、胸ぐらを掴んで強引に立たせる。
「う、ウグッ。 こ、この俺にこんな事をしてタダで済むと思うなよっ!?」
「いや、殿下から今回の決闘を申し込んできたんでしょう? しかも有無を言わさず半ば強引に。 であるのに何で俺がクロード殿下を殴ったら俺が罰を受けなければならないのですかねっ!?」
「ヘブッ!?」
「普通に考えでおかしいと思わないんですか? 決闘なのに片方が攻撃すれば権力で潰すと脅されるのがクロード殿下のやりたかった決闘なんですかねっ!?」
「ブホッ!?」
「それって決闘じゃなくてある種のイジメなんじゃないんですかねっ!?」
「アバッ!?」
そして俺は左手で胸ぐらを掴んだまま空いている右手でクロード殿下の頬を叩きながら話す。
「もっ、やめてくれっ! 俺の負けで良いからっ! 後日権力を使ってカイザルを潰すなどもしないから、お願いだからもうやめてくれっ!! 痛いのは嫌なんだよっ!!」
そして、やはりというか何というか、クロード殿下は殴られ慣れていないというか、そもそも痛みに慣れていないのか数発叩いただけでもう根をあげてしまうではないか。
根性が足りないぞ。 根性が。
もしくは俺の思いを乗せて叩いた事によって、俺の思いが通じたのかもしれない。
と、いう訳でもう一発、今度は鳩尾を殴ってやって、回し蹴りで吹き飛ばす。
「とりあえず、いくら俺がお前を倒したところでブリジットの本心が分からなければどうせまたこのお俺に突っかかって来るだろうし、仕方がないから心の優しいカイザル様が一回だけブリジットに命令できる権限を渡してあげましょう。 クロード殿下がブリジットに聞いてみたかった事を命令して聞いてみれば良いんじゃないんですかね?」
そして俺は、鳩尾を殴り蹴り飛ばされ、涙を流しながら吐瀉物を吐いているクロード殿下へ一回だけブリジットに命令できる権限を与えてやる。
俺の優しさに人類か感動するレベルである。
「ぐ、うっ……た、確かに一回だけの権限を使えるというのは本当みたいだな。 ではブリジット、本当の気持ちを教えてくれっ!! 本当は助けて欲しいんだろっ!? カイザルの奴隷なんか嫌なんだろっ!? この俺が好きなんだろっ!? そして俺に助けて欲しいんだろっ!?」
そして、奴隷への命令を一回だけ行使できるという権限を、なぜか地味に俺に怯え始めているクロード殿下に渡し、その権限の内容を確かめたクロード殿下は間髪入れずにブリジットへ命令する。
そもそも『一回』と言っているのに何回命令しているんだよとは思うのだが、 どうやら内容はほぼほぼ同じような内容であった為幸か不幸かあれで一回とカウントされたらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます