第28話問いただしてやりたい気分
◆
俺に新しい奴隷が増えたのは良いのだが、それが同じ学園の同級生であり同じクラスで隣の席。
ここまでは百歩譲って我慢しよう。
しかしながら首輪だけはどうにかしてほしい。
と、いう訳であの後早速街へ繰り出してチョーカーを買ってやるから首輪と付け替えてくれと言ってみたのだが、何故か頑なにその提案を拒否してくるので、俺はついに伝家の宝刀『土下座』でなんとか革製の黒い、犬につける様な首輪から同じ黒色のチョーカーへと替えてくれた。
流石俺の必殺技である。
一度放てば全てが俺の思うまま。
何故か俺の男としての尊厳が失われた気がするのだがきっと気のせいだろう。
因みにブリジット曰く既にブリジットの実家であるモーデル家は今回の事件の証拠とモーデル家の国家転覆を狙っていた証拠により既に乗っ取りは完了しているとの事。
そしてブリジットが死ぬか行方不明になった瞬間ブリジットが持っている証拠の数々は然るべき場所へと送られるとも脅しているので当分は大丈夫との事である。
何が大丈夫なのかと小一時間ほど問いただしてやりたい気分である。
因みに他の奴隷同様に首輪等を付けずとも隷属はできるのだが、彼女曰くそこだけは譲れないと街中で泣いて懇願されては駄目だとは言えなかった。
流石に泣くのは卑怯ではないか言うと、忠誠を誓ったはずのご主人様の土下座よりましだと言われては、俺は何も言い返せなくなった。
なんと卑怯な。
そんなこんなで翌日、ブリジットは首に着けたチョーカーを愛おしそうに触りながら俺の隣の席で、表向きは授業を真面目に受けていた。
目に見えて変わった事と言えば休み時間になってもクロード殿下の元へと向かわなくなった事くらいであろうか?
それでもクロード殿下の周りには常に取り巻きの女性たちが囲っており、そこからブリジット一人抜けたところで誰も気づかないだろう。
気付くとしたらスフィア様くらいだ。
そのスフィア様は今、頬を染め楽しそうにクロード殿下と会話をしている。
何だかんだで俺という屑の婚約者から婚約破棄をされて不名誉な噂も立たず、可哀そうな令嬢というカテゴリーに収まっただけでなく、こうしてクロード殿下と会話をできる環境を手に入れたのだ。
幸せそうで何よりだ。
「ご主人様……」
「学園内でその呼び方はやめてくれ。 怪しまれない為にも今まで通りカイザルと呼び捨てで構わない」
「す、すみません」
「それでどうした?」
「カイザルはスフィア様の事を……いえ、何もございません」
「ったく、まあいいや」
とりあえず、ブリジットというイレギュラーはあったものの今回の件については終わりよければ全てよしという事で良いだろうと自分の中で締めくくるのであった。
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