第12話心が折れそうだ
前世の記憶が戻った今の俺の倫理観や常識、価値観等が変化してしまった為、婚約破棄をした相手に対して必要以上に罪悪感を抱いてしまうのだがすでに後の祭り、覆水盆に返らずである。
そしてこのまま登校拒否をし続けて周囲、特に家族に怪しまれるのも得策ではない。
ブラック企業時代の、上司がやらかしたミスを擦り付けられて取引先へと謝罪しに行く時と同じくらい精神的にキツイものがあるのだがいかせん俺はまだ死にたくない。
当然俺が婚約破棄をした噂はすでに広まっており、登校してきた俺を見た周囲の学生たちは今までの俺の評価も相まって陰でコソコソ話はじめるという姿が、教室につくまでに至る所で目に入って来た。
以前の俺であったのならばこの光景を見て耐える事が出来ずに癇癪の一つでも起こしていたに違いない。
そして当然こんな状態では学生達からまともに相手をされる訳もなく、むしろ教室に入ってからは特に如実であり、クラスメイト達は俺を腫物扱いする事を隠そうともしていない。
自業自得とはいえこれが毎日続くと思うと今から心が折れそうだ。
だが、だからと言って滅入っている姿を見せる訳もいかず、俺は普段通り横柄な態度で歩き一番後ろ窓側の席に着くのだが、当然というか何というか、俺の隣にあったはずの元婚約者であるスフィア・ラヴィーニの席が無くなっており、辺りを見渡してみると対角線上にある前側入り口付近に俯いて座るスフィア・ラヴィーニの姿が目に入ってくる。
ああ、そういう事か。 そりゃそうだ。
むしろ未だに同じクラスメイトである事にビックリであるのだが、おそらくクロード殿下と同じクラスから変えたくなかったのだろう。
そして取られた策がこれである。
ただ、これだけだとあまりにもうま味がない(今までと変わらない、むしろ俺と同じクラスというデメリットが増えた)事になる為魔術学園側はスフィアの席をクロード殿下の隣にすることでラヴィーニ家に配慮するという形をとっていた。
しかし、この対応が後にスフィアに悲劇が訪れる事になる。
というのも事が事だけにクロード殿下の隣の席であった貴族令嬢も強く抗議できないのだが、突然横からクロード殿下の隣の席を奪われた形になる為当然よく思っておらず裏でならず者達に金貨を渡してスフィアを襲わそうと企てるのである。
まぁ当然この展開はスフィアを攻略するためには襲われている時に助けなければならないのだが、別のヒロインを攻略する場合はある日突然スフィアの姿が無くなる。
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