第2話書き記すは日本語

 しかしながらいつまでもこうして頭を抱えている場合ではない。


 そう思い俺は現実逃避したくなる程までに受け入れたくない現実を受け入れる事にする。


 受け入れてしまえば後は腹をくくるだけであるため、俺は冷静さを取り戻してゲームのイベントを時系列準に、主要キャラクターと共に書き記していく。


 もちろん書き記す言語は日本語である。


 敵が多く家庭内であったとしても使用人全員まで信用できるかと言えばそうではない為である。


 これで俺の考えや作戦がバレ、それが原因で失敗して死にましたでは悔やんでも悔やみきれない。


 そもそも俺は家族にすら疎まれている現状を鑑みるに、家族も含めてクヴィスト家に出入りする人物全て敵であると考えて行動するべきであろう。


 さて、話は逸れたがこのドラゴンファンタジーナイト~愛のラビリンス~というゲームなのだが、基本的にはタイトルに愛のラビリンスと付いているようにどちらかというと恋愛がメインのゲームである。


 そして主人公は各ヒロインたちの願いを叶えるため与えられたクエストを攻略するというものであり、クエストを攻略するとそれに携わるヒロインの好感度が上がるという仕様である。


 冒険をメインにしたい者や恋愛物語をメインにしたい者たちからはどっちつかずという評価ではあるものの多岐にわたる分岐点と、それにより変わるラストの展開の多さは何度もプレイしたくなる中毒性があるゲームである。


 そしてその中毒性にハマってしまった俺はすべてのストーリーイベントとストーリーイベントでもらえる画像をコンプリートするべく寝る間も食べる間も惜しんでプレイしていた。


 今思えばそんな事で、と思わなくもないが当時の俺からすればこのゲームが全てであったのだ。


 そして何を隠そうこのゲームは以前クリアした時のステータスを引き継ぐことができるという周回勢にとって優しい設定もあった。


 この設定に関しては賛否両論あったものの、引き継ぐかどうかを選べる救済もあったため一定以上の評価をされていた。


 そして俺は勿論引き継ぎ勢である。


 そもそも引き継がないと全てのイベントを見るのに下手をすれば一年以上はかかるのではないかと思えるほどには攻略の難易度は跳ね上がる。


 ステータスを引き継ぐことをズルだとか何だとか言う奴らも一定数いたのだが、強くてニューゲームというのはやはり男のロマンなのだからステータスを引き継ぐことはズルでも何でもないと俺は声を大にして言いたい。


 そんな事を思いながら俺は記憶にある限りの知識を日本語で書き写していくのであった。

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