第8話男子奮闘する

さて、団体戦の予選。

先ずは、一射目、5人とも的に中る。正樹はホッとした。

結果、我がチームは全員四射皆中であった。

いい出だしである。

女子は拍手をする。また、試合に参加していない、1年生も羨望の眼差しで男子の姿を見ていた。

いつもは、変な2年の男子が本番に強いとは。


先ずは一巡目が終わり、女子の団体戦だ。

2年が4人いるが高校に入ってからの弓道歴なので、副キャプテン以外は散々な結果。

田嶋は個人戦狙いだ。彼女だけ四射皆中だった。


また、待ち時間に皆、朝の様に緊張感のない雰囲気を醸し出す。

正樹は「料理の鉄人」を読んでいた。最近、料理に興味をもっていた。休日はケーキを焼いたりするのだ。

そこへ、光一が近付いてきた。

「正樹君、僕は皆中したよ。後、六中で約束守ってね」

「あ、あぁ」

正樹は光一が四射皆中するとは思いもよらず、軽くキスするって約束した事を猛烈に悔やんだ。

まさか、十中は無いだろ。と、自分に言い聞かせた。

一巡目、みんな、皆中とあれば、ひょっとすると、優勝の二文字が浮かぶ。

それから、二巡目。

また、みんな、皆中。後、二射で決まる。この時点で、予選は突破しているので、敗退した高校は次々と帰って行く。


さて、後、二射で決まる。初優勝。

八射皆中は3校あり、また一射の差は5校ある。

いけない事に、正樹は試合に集中出来ない。

光一のキスが迫ってくる。

外すのは簡単だが、優勝するのであれば、キスはいくらでもしてやる。

だが、僕は正常な男子高校生だ。

男子が男子にドキドキしでどうする。

最悪な精神状態で、最後の巡が回ってきた。



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