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そのまま、ずーと連絡取り合うこともないまま、私、3年生になろうとしていた。その間、絵の方とか学校の方とか忙しかったけど、モト君のことは忘れたわけじゃあ無かった。いつも、想っていたし、モト君からもらった大切にしている青と赤の蝶々のお守りを眺めながら、やっぱり、あの人は私の初恋の王子様なんだと信じていた。
3年生になって間もなく、同級生の彼氏が工業高校の男の子だと知って、モト君の小学校からの友達の田中大樹君のことを知っているのか聞いてもらった。知っているというので、連絡してもらって田中君と駅前の『クルーネ』で会うことになった。
「よう、本町、きれいになったな、どうしたん、突然、会おうって、びっくりしたよ」
元気よく、大きな声で現れた。日焼けしていて、坊主頭でいかにも何かスポーツしている感じだった。
「ありがとう、来てくれて。カッコ良くなったわね」
「そうかー。俺と付き合ってくれる? 小学校の頃から 本町のこと好きだったんだぜ」
「冷やかしはやめてよ。カッコイイってのは、お世辞よ。水島君のこと、最近どうしてるのか、知っていたら聞きたいの」
「やっぱり、そうか、まだモトシのことが気になっているんだ。雅恵とのこと、実は俺があいつにしゃべったんだ。いい加減なウワサ話を言ってしまってゴメン」
「そうだったんだ。いいのよ、もうあのことは。水島君、いづみチャンと付き合ってるの? 仲いいみたいだったから」
「そんなわけないじゃん。もっとも、卒業してからも早瀬はモーシヨンかけてたみたいだけど、あいつは適当に受け流していたよ。あいつの中では本町が居たからね。あんまり、人を傷つけないから、あいつは。早瀬も、自分の方に振り向いてもくれないから、意地になっていたみたい。女王様気取りだったしね。今でも、男をとっかえひっかえしているみたいだよ」
「そうだったんだ、いづみチャンは可愛いし、頭も良いからもてるだろうから、私、疑って、すごく誤解してたみたいだね。ねぇ、水島君から大学のこと聞いてる?」
「この前会った時には、〇〇大で海洋の勉強するんだと言っていたよ。どうしても、行きたいんだって。今は、水泳も中止しているみたい。でも、多分あいつは、まだ、本町のこと忘れないでいると思う。ブックカバー、本町からもらったんだと、今でも大切に使っていたよ」
私は、動揺していた。ごめん モト君。やっぱり、モト君は私の・・
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