第47話 「忍・竹ノ獄クニトモ」
仲間達の元へ戻ろうとした時
細く長い棘がジンの背中を貫く。
ジンは振り向くと母なる異形が再生し
最初の球体に戻っていた。
「生きてやがったか……クソが……」
母なる異形はジン目掛けて棘を複数飛ばす。
(瞬転雷送も間に合わねぇ……ここまでか……)
ジンは戦うことを諦め死を覚悟した時、
突如黒いモヤのような物が視界を横切り
全ての棘を弾き飛ばした。
「な……なんだ!?」
「加勢しよう」
黒いモヤのような物がジンの目の前に降り立つと
黒い衣服に身を包み顔を隠している人物が現れる。
「安心しろ、怪しい者ではない」
「いやいや、怪しい者でしかないだろ……」
「そうか?」
「いっぺん自分の姿を鏡で見て来いよ……」
母なる異形は再び棘を飛ばそうと
歪な球体をモゴモゴさせている。
「鏡を探している暇は無さそうだ」
「気をつけろよ……」
「安心しろ俺は『忍』だ」
母なる異形は再び複数の棘を勢い良く飛ばして来る。
『
忍の身体は闇に包まれジンの前から消えるように
姿を消すと飛んでくる棘の随所に姿を現し
次々と持っている直刀でたたき落とす。
「なんちゅー速度だ……」
母なる異形は棘での攻撃を諦めると
ボコボコと膨らみ出して手の様な物が
忍目掛けて伸ばし捕まえようとする。
忍は直刀で斬ろうとするが柔軟性のある
腕は斬ることが出来ずそのまま複数の腕に
絡まれてしまい締め上げられてしまう。
「やべぇな助けねぇと……」
ジンは何とか身体を動かし僅かに回復した
エネルギーで攻撃を仕掛ける。
『
母なる異形に当たった攻撃は腕の一本を切断するが
余計に締め上げる力を上げてしまう。
「忍、すまん!!」
「問題ない」
『
母なる異形が締め上げ粉砕したのは
自身が放った棘だった。
忍は落ちていた棘と自身を入れ替え
母なる異形から脱出した。
「そろそろ行かせてもらう」
忍は空高く飛び上がり『身代転身』で
母なる異形と自身の場所を入れ替える。
『
母なる異形が落ちてくる瞬間に地面から
闇の尖った竹が複数本現れ、母なる異形を串刺しにした。
全身串刺しにされた母なる異形はコアも破壊され
ボロボロと身体を崩し再生する事も無く消えて行く。
「終わった」
忍は直ぐに立ち去ろうとする。
「待ってくれ!!今から仲間達の元に戻って
異形を放った奴らを倒しに行くんだが
一緒に来てくれないか……?」
「そうか、是非同行しよう」
「助かるぜ!!俺は轟鬼ジンだ忍よろしくな!!」
「私の名前は『
「じゃあ、忍ってなんだ?」
「俺の憧れの存在」
「……よくわからんが、よろしくな!!
とりあえず俺の刀に触れてくれ、仲間の所に飛ぶ」
『
停戦しているミカド達の元へ一筋の稲妻落ちる。
「ジン!!」
「よぉミカド、なんとか生きてるぜ……」
ジンは仲間達にクニトモを紹介して
ついに黒神兄妹との戦いが始まる。
ミカド、ユキマサ、ミキリ、クニトモは
戦闘態勢に入るがアンユはストップをかける。
「一対一……」
「はぁ?そんな願い聞き入れる訳ないだろ……
こちとら死にたくないんでね……」
「それがルール……決まり……掟……
神と対する時は一人づつ……それが試練……」
「それを破れはどうなる……」
「始まりの神……始原神……現れて
あなた達を消す……だから一人づつ」
ミカド達はその話が嘘であると考えるが
万が一本当だった場合は今までの苦労が
水の泡になる……それを恐れ掟を守る事に。
「いいだろう、そちらの要求を飲もう
まずは俺から行かせてもらうぞ」
「いや、俺が行きますよ!!」
「いや、君には頼みたい事がある……」
出来るだけ三人で時間を稼ぐ間に
ミカドに『
探し出し連れてくる事を頼んだ。
「必ず連れてきます!!」
「頼んだ!!――さぁ、待たせたな!黒神兄妹!
どっちが相手でも構わんぞ!」
「お兄ちゃん……相手する……」
「……」
(得体の知れない方が来たか……いいだろう、
出来るだけ正体を晒して次に繋げる!!)
「俺は『
「……」
「名位名乗ったらどうだ……」
「お兄ちゃん……名前……カムユ……
『
「妹に名乗らせるとは……情けない……」
「……」
「行くぞ!」
ユキマサは刀を抜きカムユに斬り掛かる、
カムユはヒラリと躱しユキマサの頭を捕え
地面に叩きつける。
「グハァ……」
(そのか細い身体のどこにこんなパワーが)
「……」
ユキマサは刀で足元を斬るが、カムユは上の空のまま
その刀を踏んづけて止めてしまう。
「なんとも恐ろしい奴だ……」
『
ユキマサの刀から火が吹き出し
カムユは後ろに下がる。
「そのまま取らせてもらう!!」
『
這炎で火炎幕を躱したカムユを追撃し
豪炎を纏った炎刀でカムユを焼き斬る。
しかし刃は素手で止められてしまい
蹴りを腹部に食らって吹き飛んで行く。
「ユキマサ大丈夫かい!?」
「ミキリ……すまない、まだやれる……
しかし、神とはこうも絶対的な強さを
持っているのか……俺一人で足止めしたいが
難しいかもしれんな……」
ユキマサはカムユの元へ戻る。
「私の豪炎斬も全く通用しないとは驚いたが、
お前も遠慮なく技を使うといい」
(少しでも次の戦いを有利にしなければ)
「お兄ちゃんは強い……技使う必要ない……」
「また、妹か……仕方ない、少し早いが
やるしか無いな……」
ユキマサは自身の刀と一体化し
自我を無くし狂鬼化する。
「ウガァァァア!!!!血だ血だ血だ!!!!
血を寄こせぇぇぇえ!!!!」
狂鬼化したユキマサは炎を拳に纏い
カムユの元へ猛ダッシュして全力で拳を打ち込む。
「……」
「ウガァァァア!!!!」
カムユは難なく素手で受け止める。
相変わらずの上の空でユキマサの首根っこを掴み
持ち上げて首を絞める。
「ガァ……カッ……」
ミキリは耐え切れずユキマサを助けようとする。
「ダメッ!!絶対ダメッ!!」
珍しく大人しいアンユが大声で
助けに行こうとするミキリを止める。
ミキリも思わず歩みを止めてしまった。
「助けちゃダメ……本当に消される……」
その時、ミキリ達は全員さっきの話は
本当だったのだと確信した。
カムユに首を締められるユキマサは
狂鬼化が解け身体から力が抜ける。
カムユはミキリ達の元にユキマサを投げ飛ばす。
「ユキマサ!!」
「す……すまない……」
「良かった!!生きてる!!」
「不甲斐なし……」
ユキマサは完全に気を失う。
「次は俺が行こう」
「いや、私に行かせてよ、弱らせるのは
私の得意分野だからね、いい感じで繋げて見せるよ」
『
「私も妖気活性出来るまで力は戻ったんだ、
そう易々とは行かないよ!!」
「……」
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