第40話 「仲間割れ」
ミカドと共に協力して狂鬼化したユキマサを制する
姿で確かにルンは敵ではないと信頼でき、
さらには暴走状態の成れ果てとして怪光の異形に
イチカはなったという憶測も当たっていれば
確かに共に行動するのは問題は無さそうだが。
でもし違ったらと言う
不安感はそれぞれ抱いていた。
「おい異形……本当は俺らを騙してんだろ……?」
「ルン?」
「やめてくださいよ!!ルン大丈夫だからなぁ、
ちょっと怖い人なだけだからなぁ」
「ミカド……自分は違うとでも思ってんのか?」
「えっ?」
「こいつの話じゃお前も異形と同じ再生を
すんだろ……?って事はテメェも本当は
異形なんだろ……」
仲間たちは途端にざわめく。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!
俺が異形??そんなわけないじゃないですか!!
俺は至って普通の人間ですよ!!」
「本当にそう思ってんのか……?鬼と半妖共の
見立てじゃ、お前は人でも鬼でも半妖でも
ないんだろ……自分自身でも何なのか分からねーって言ってたじゃねーか……」
「それだけの理由で異形にされちゃ
たまったもんじゃないぜ……」
「正体不明で異形と同じ自己再生で
異形以外になにがあんだよ……」
「わかんねーよ……」
ルーンルーン!
責められるミカドの前に立ち
両手を広げ庇う素振りをするルン。
「ミカド……悪ィけどよ……俺様も今の状況みたら
お前が異形何じゃないかと疑っちまうぜ……」
「ミカドが異形なんかな訳ないんだお!!
ずっとミカドは僕達の為に頑張って戦ってるのが
何よりの証拠なんじゃないかお!!」
「だが、俺らが外している間にこいつは
暴走して我を忘れて仲間達を皆殺しにしようと
したと聞いた……それはどうなんだ……
見境なく襲う、異形そのものじゃねーか……」
「忘れてたお……ミカドごめんお……
でも僕はミカドの味方なんだお!!
お前ら全員敵に回っても僕は最後まで
ミカドの親友でいるんだお!!」
「イチロ……サンキューな」
「白地、異形に殺された奴のことを考えろ……
それでもお前はそこの異形二匹に何の恨みも持たず
共に行動が出来んのか……」
「ちょっと待つんだお……今なんて言ったお……」
「何キレてんだよ、そこの異形――」
「もうよせユアサ!言い過ぎだ!」
「あ?タカオミ……テメェもか?」
「何言ってんだ!!」
「許さない……僕の友達を異形呼ばわりする
お前は絶対に許さない!!」
「落ち着けイチロ!!俺は大丈夫だから!!
お前まで狂鬼化なんかすんじゃねーぞ!!」
「フンーーー!!フンーーー!!」
イチロは薄い茶色い光のオーラを纏いだし
光が収まるとちょこんと乗っているような
お飾り程度だった一本角は太く発達し
独特な服装を纏っている。
「これは……」
ウタカタは固唾を呑み、イチロの様子を伺う。
「イチロしっかりしろ!!イチロ!!
狂鬼になんかなるんじゃねーぞ!!」
「なってないお?」
「へ?でも……お前……」
「僕がなんだお……おぉ!!なんだおこの服
めちゃくちゃかっこいいんだお!!」
「ミカド君安心して下さい!これは狂鬼化ではなく
『
「豪鬼化??狂鬼化以外にもあるんですか……?」
豪鬼化は狂鬼化と相反する鬼の覚醒。
狂鬼化は鬼化の時よりもさらに強い憎悪に呼応した
負の感情エネルギーの具現化した刀と一体になり
格段に強くはなるが敵味方見境が無くなってしまう覚醒。
対して豪鬼化は何かを護りたい助けたいそういった
正の感情エネルギーが元々の鬼としての負の感情
エネルギーを凌駕する事で刀とは一体化せずに
更なる力を手にする事を豪鬼化と呼ぶ。
狂鬼化した者は豪鬼化出来なくなってしまい、
豪鬼化した者は狂鬼化する事は無くなる。
「つまり鬼化した時よりもミカド君を助けたいという
気持ちがイチロ君の中にあるエネルギーが
良い方向に覚醒出来たって事です!!」
「そうだったお、ついはしゃいだけど
僕は氷洞氏を今から懲らしめる所だったお」
「やめようぜイチロ……仲間内での争いなんてさ……
俺はなんと言われようと異形じゃないと言い切るし
氷洞さんや他のみんなの気持ちも分かるのも事実
ここは一旦みんなで冷静に話し合う事にしよう」
「何を話し合うってんだ?テメェの殺し方か?」
「どうしちまったんだユアサ!!」
「悪ィなミカド……ユアサも辛いんだ……
分かってやってくれ」グビッ
ミカド達は一旦冷静さを取り戻し
ユキマサを校内の教室に運び
そのまま話し合いを始めた。
「ユアサさんさっきは暑くなってすいませんでした」
「異形に聞く耳は持たねぇ……」
「ったく……しょうがね~な……
ユアサはこれからどうしたいんだよ」グビッ
「決まってんだろ異形共の追放だ……
それとそこの鬼二人もだ、狂鬼化なんて
またされたらたまったもんじゃねー」
「ミカドとヒメ様が追放されるなら僕も一緒だお」
「私もお父様と共に行きます」
「俺もミカド側だな!師匠は弟子が心配でよ!」
ジンはミカドに肩を組み頭をワシャワシャ撫でる。
「お前……やっぱ俺の事好きなのか……?」
「ちげーよー!!だが、テメェ悪態がねーと
物足んねー身体になっちまったみてーだ!」
「うん……そう……」
「引くんじゃねーよ!!俺も自分で行ってて
気持ち悪ぃんだよ!!」
自然と追放されるミカド側に着く人達と
ユアサ側に着く人達で別れる流れになる。
「アカネ、お前はどーすんだ」
「見ての通りルルが完全にミカドッちと異形に
怯えちゃってるしねー置いてけないっしょ」
「そうか……ルル、アカネ元気でな」
「うん……ごめんなさい……」
「ルルが謝ることないって~」
「メメメメメ、メグミもミカド君と行く!!」
「ダメよメグミ!!八蘇木君には悪いけど
少しでも安全に過ごせる方を選ぶべきだわ!!」
「えへへ~ごめんねレイちゃん……
今でもメグミはミカド君の事が好きだから……
何の役にも立てないかもしれないし
お荷物になっちゃうかもしれないけど……
でもメグミは少しでもミカド君と一緒にいたい!!」
「その好きな人に殺されるかもしれないのよ……」
「そもそもメグミはミカド君が異形になっちゃう
なんて少しもおもってないよ~♪
万が一異形になってもそれもミカド君だもの
メグミは受け入れるよ、たとえ殺されても!」
周囲の人間はメグミ幸せそうな顔をしながら話す
度を超えた愛に引いている……。
最終的にミカド側には。
計七人と一体。
ユアサ側には。
の計十九人が残る事になった。
「すまねぇなミカド……別にお前を信じてない
わけじゃない、あんななっちまったけどユアサは
あくまでも俺らの家族だからな、見捨てられない」
「タカオミさん……分かってます……
それに皆のあの申し訳なさそうな顔を見れば
俺らを追い出しくない気持ち、だけど万が一が
あるかもしれないと不安になる気持ち
俺が一番よく分かってますから!!」
ミカド自身も口では異形では無いと主張するも
もしかしたらという考えは拭えずにいた。
「じゃ!皆また会う日まで!!」
ミカド達は追放された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます