五通目のお手紙

 あなたへ


 そういえば。

 キャンプ道具を部屋いっぱいに広げて翌日のソロキャンに備えて点検しながら、ひとつ、ひとつ、道具の名前、使い方を教えてくれたことがありましたね。


 コンロなんか、最初は大きな機械の虫かと思って、ちょっとびっくりしましたよ。でも、あなたが、最初は足と見えた五徳を手際よく開いて組み立てていくと、見る間にコンロが姿を表しました。ボンベを繋いで点火すると、なる程、確かにそれはコンロでした。

 私は、あんな虫みたいな物がコンロになったので、びっくりして、何度「凄い! 凄い!」と言ったかしれません。


 メスティンがいかに優れた調理器なのか、熱く語ってくれましたね。ご飯が炊けるばかりか、焼く煮る蒸す、色んな料理に使えるんだと。あなたがあんまり熱を込めて語るので、私はアルミニウムのただの四角い箱に、ちょっと嫉妬しちゃったんですよ。


 私が少し機嫌を損ねているのを感じ取ったあなたは、

「ごめん、ごめん。今度ソロキャンに連れて行ってあげるね」

 って言ってくれました。

 その約束、まだ守ってもらえていませんよね?


 またね

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