気になる 其の四
ついに来たんだ。花華さんのお家に。
お邪魔しますっ。
みんなで入っていく。
お部屋の作りもレトロで味がある。
すると、行き着いたお部屋に一人の女性がいらっしゃった。
あの人が、花華さんかな。
するお二人はその女性さんへ声をかけた。
「花華。」
あ!やっぱりこの人が花華さんなんだ!
すると女性はこちらを振り向いた。
「えっ、センタロウさまっ。スバルくんっ。どうしてここにっ。さっき、ドアが開く音がしたと思ったけど、それはユーたちだったのかあ。」
えっ?!
どうやら、花華さんは二人のことを知っているみたいだ。そういえば、国王様もスバル様も、花華さんとは関わりがあるみたいなことを話していたなあ。
「花華。遊びに来ましたよ。」
「にゃう〜。センタロウ様、スバルくん、ようこそなのだ。ゆっくりしておいきよ〜。また、頭をなでなでしてなのだっ。」
何だか、花華さんって愛らしい感じの人だなあ。少女みたい。
「うんうん。そうだね。なでなでをするよ。愛らしいね。花華さん。なでなで。」
「俺もやりますっ」
二人が花華さんの頭を撫でている。
花華さんは気持ちよさそうに目を細めている。猫みたいっ。
にゃう〜、蕩けている。
「ところで、ユーたちは、なぜ、また急に、こちらの世界へきたのかのう。」
「それはね、我が時代の短所を見て、前の時代から学びを得ようとしてこちらに来たのだ。スバルさんがとてもそのことで悩んでいて。」
「そうなんだ。俺は、俺たちの時代に最近、嫌気がさしていてな。」
「そうなのかあ。私はね、ユーたちの時代にあるハイテクなことたちがいいことだと思うよ。それで人間味を失ってしまいやすくなる、というのはあると思うけど、そこからまた人の良さを学べると思うよ。」
「良さって、俺たちの時代にゃ、何かあるかなあ。ハイテクになり過ぎて、人が冷たくなって」
「うむ。そこから学ぶんだよ。人の愛を。」
「なるほどな。そこから、か。」
「なんなら、我が時代の街の様子を見てこられるといいです。こちらはこちらなりに短所はありますよ。」
「そうなのか。さっき歩いてきたけど、何もそういったことはなかったぞ。人の目が偶に気になっただけで。」
「えっっ ユーたち、人に見えるようになったのかい」
「うん。少しだけね。俺たちの服装がどう見られるのか気になったんだ。それだけだよ。みんなは気になっていた反応だったね。変わっていた服装だったと捉えていた様子で学べたよ。」
「そうかい。それは良かったね。」
「なあ、今は、少し、街を歩いてみようかな俺。」
「うむっ。いいと思うぞよー。」
「はーい。行ってきます。国王様や黒もこい。」
「黒くんかあ。そちらの、まあるい黒色の子かいっ。」
花華さんはぼくに目を向けてきたっ。
「あぁ。そうだよ。愛らしいだろ。」
「うむっ。」
花華さんはぼくの頭を撫でてきた。気持ちいい。
「じゃあのう。探検、気をつけるのじゃぞー。」
「うーい。」
「またね。花華。」
「またね。花華さん。」
みんなは再び、外へ出た。
にしても、この時代にはこの時代なりの悪いところってなんだろう。のどかそうで穏やかそうに見えるけれど。
みんなは再び、マンションを出る。
「ここからは散歩だよ。」
お散歩って、どこへかなあ。
「色々、探検をしにいくよ。大丈夫だよ。私の念でひとっ飛びしてまた戻れるからね。」
安心だなあ。
「探検をしに行きましょう。」
みんなで、バスという乗り物にのる。
すると人がぎゅうぎゅうに詰まっていた。
どうしてっ?
「これはな、退勤ラッシュというものだ。」
「た、いきん?」
「うん。ここの時代は、みんなお外で働くんだ。それが終る今の時間帯にみんな一斉に帰るために乗り物になるんだ。そうなると、このようなことになりやすいんだ。」
「えええ」
そりゃ驚きだ。これじゃあまるで動けないじゃないか。スバル様も表情に静かな怒りを灯している。こりゃいかん。
「スバル、いいかい。何もしてはいけないよ。」
「ははっ 国王様」
スバルさん、怒らないでねっ。
するとバスの中の前の席の方から人と人が言い合っている様子が聞こえた
「すみません。こちらにお年寄りの方がいらっしゃるので、そこはお年寄りが座るところなので、お席を離れて頂けませんかね。お願いします。」
「えっ?いやーうーん。でも私も最初からここに座っていましたし。すみませんが、私自身もここにいたいですー。」
「退きなさいよ。この方の優先席でしょうが。」
「えっ?いいえ。絶対に嫌ですね。」
「はーん?それじゃあ、貴方。ほらっ。」
その人は言っている人に蹴りを入れた。
その人は痛そうにする。するとその人も反撃で拳を振り出した。
その人は痛そうにする。
「これは。」
「分かったかい、スバル。この時代にはこの時代の短所もあるものなんだ。」
「なるほど。確かにこのようなことは俺たちの時代には無い。みんなが対等に座れるように席は並んでいる。上にも下にも。それだからみんなが快適に乗り物に乗れ、心地よくあれるからこの様な事もない。」
スバルさんは表情を暗くした。
「つか、助けなくては」
「いやいいんだ。見ててご覧。」
するとその様子を見ていた人が止めに入った
「やめろよ!そういう言い争いは!さあ、ここでやめて。あと、貴方はこの方にお席を譲ってあげるべき。」
「はーい。すんませんしたー。」
そうして、席はおばあちゃんに譲られてことは終わった。
そして、終点のアナウンスが鳴る。
みんなは降りる。
僕達も降りた。
みんな降りる時通貨を出していた様だけど僕達にそれがいらないのは僕達が見えない存在だからだ。ふふっ。
国王様はお金というものを出して、下り口の所の穴のあるお賽銭箱に入れて、降りた後にお辞儀をしていたけど。
着いたのは、花華さんが元々働いていたという職場さんだった。
名前は確か、パ-------------
「おっと。そこは思い出さない様にしたよ。ちょっと、花華さんの脳に響く可能性があるからね。」
「えっ。思うだけでもいけないんですかー。」
「うん。そうだよ。花華さん関係の言葉出すとね、見えない波動の様なものが働いて、花華さんにあまり良くない影響を与えてしまったりするんだ。」
「そうなんですかっ?見えない波動が、働いちゃうんですかっ。」
「うん。例えば、人のことを言っていたら、それなりのことが返ってくるという諺があるよね。それと同じような感じなんだ。そっとしておいてあげてね。」
「そうなのかなあー。ぼく、何も悪いこと言っなないけどなあ。」
「うん。ちょっとね、花華さんはあそこのことをあまりよく思ってないからね。」
「なるほど。そうなんですねー。お仕事で揉めちゃったかなあ。」
「うん。そうなんだ。そっとしておいてあげてね。」
「はいにゃーんっ。」
そうして三人はその花華さんの元お仕事場へ入る。
すると「チリンチリーン♫」という音が鳴って、店員さんが「いらっしゃいませー」と出迎えてくれたけど、僕達は見えないので「?」という顔をしていた。
わあーっ!美味しそうなパンがいっぱいある!えっ、どうして、もしかして花華さんの元職場ってパン屋さんなのかなっ。
色んなパンが置いてあった。菓子みたいなのや惣菜みたいなのまであり、全て食べたかった。
お腹すいたなあ。
「ふふ。じゃあ、いくつか買っていくかい。」
「あっ!はいっ!」
「スバルも何か買おうじゃないか。花華が元々作っていた食べ物達だ。じゃあ、こうするか。」
すると国王様はこの世界の人からも見えるようにまたなった!
この世界線の上の普通の容姿の人に変化をして。
「すごいや、国王様が普通の男の人にしか見えないや。」
国王様はその姿で店員の目の前に突然に姿を現し、僕たち二人が要望をしたパン達を買ってきた。なんかね、前にいる店員さんへ渡してお会計をしていたみたいだった。それが、21世紀のシステムなんだなあ。僕達の時みたいに機械が勝手にやってくれたり自然と買えたりするようなことはまだ備わってはいないみたいだった。
すると国王様がこちらに帰ってきて小声で呟く。
「でるぞ。」
僕達はパン屋さんを出た
国王様はまた見えなくなって元のかっこいい姿に戻った。
「あれが、21世紀のやりかたなんですねっ。」
「俺も見ていました。あれは素晴らしいと思いますねっ!店員が、生身の人間だった....!そして、人と人が、物を渡し合ったりして、愛を育んでいるっ!それは僕達の時代には無くなってしまった事です。それを我が時代にも見習ってもらいたいと言うか」
「あぁ。そうだね。スバル。ここの時代のいいところだね。しかしだね、その反面、良くなかった事もあったよね。」
「はい。さっきのバスの事はあまりにも見苦しかった。自動が発展していない時にはその時なりの短所というのもあるものなのですね。そこは俺たちの時の方が良いなと思いました」
「そうでしょう。そういうものなのだ。どんな時にも良いところと悪いところがあるものなのね。今回の旅行でそれを君に学んで欲しかったんだ。良い学びになったかな。」
「はい。とても。」
「それは良かったね。スバル。それじゃあ、パンを食べた後は元の世界へ帰ろうかい。また花華とお話をしてから。」
「そう、ですね。まだもう少し、この時代の短所を見てみたいです。学びたい。良いところは既に沢山知っている。」
「いいよ。うん。それじゃあ、後もう少しこの時の世界を見てみようか。」
国王様はぼくを抱いて歩いた。
そこからまた学んだことあった。
建物はコンクリート一面で出来ているから昼間から飲んで頭をぶつけた人が血を出していた人がいたので僕達は見えないまま、さり気なく治療をしてあげた。するとその人は「?」という表情を浮かべてどっか行っちゃった。
電車も鉄のみで出来ている感じでその通り道になっている路線上に何か、飲み物が入っていた容器みたいなのを落としたりしていた。これは良くないなと思った。電車の通り道に障害がでるじゃないか。僕達の時ではそれは既に無くて、そういうのも起こらないようになっている。
そもそもは、歩いている道も砂利が多い感じでとてもレトロで良い味が出ているけど、ここの世界の人たちはみんな、履き物も布でできているような感じだったから履き物の中に小さな石が入ってないか心配になったりした。
そして
「んっ?空から水が。これは、雨でしょうか、国王様!」
「うん。そうだよ。当たり。これは雨と呼ばれる現象だね。」
「作り物では無く本物の?」
「うん。そうだよ。世界の香りも少し違う感じがすると思う。それが、雨の香りだ。」
「雨の香り!これは、空が汗をかいているような香りですね!国王様、俺、初めて雨という現象を見ました。歴史では、よく空の色が灰色の時に突然降ってくる可能性のあるもので、香りも含むと有りましたが、実際に体験をするのは初めてです。バーチャルでしか体験した事なく。」
「うん。そうだよね。俺たちの時では雨は既に空にあるバリアーが吸収をして有効活用をしているからねえ。どうだい、本物の雨を体験した感じは。これもまた、学びになるよ。」
ぼくも雨は初めて見た。周りの人々は焦っているみたいだ。「きゃっ!突然降ってきたんだけど!」「うわー!予報では聞いてねえって」みたいな感じのことを言っている。何で焦るんだろう。
ふと見ると、国王様が何かを念じていた。
すると僕達の周りに透明なガードができた。
すると、雨が降って来なくなった。
そして、僕達に付いていた雨の水分も消えた。体が何だか暖かくなった。
「すまなかったな。俺も、雨水の美しさに惚れていた。」
「あっ雨の水分が。国王様、なぜ、急に雨を遮断したのですか」
「おや、スバルはそこまでは学んでいなかったのかな。雨水には身体に有害な成分が多めに含まれているんだ。」
「そっ それは 見たことはあるのですがその、俺もまた、雨水の美しさに見惚れていましてつい」
「うん。分かるよ。そうだったんだよね。今、雨を落とさせないようにして、付いていた雨水も照華させたよ。これで風邪をひくことはない。」
「ははっ!ありがたきっ。」
なるほどー。そういうことか。それで周りの人々はみんな焦っているんだ。なんか、手持ちの物を頭の上にやって敢えて雨を浴びないようにしていたり、服を頭の上にかぶせたりしているように見えたのはそれでだったんだ。雨水を防ぐためかっ。
あれっ スバル様がこちらを見ている
「お前、よく分かるよな。」
えっ?
「スバル。こらこら。君でも分かる事であるから、むくれなくていいのだよ。黒くん、ごめんね。」
頭を撫でられた。気持ちいい。
「じゃあ、これから帰ろうか。」
「はいっ。国王様。」
そして、僕たちは帰る。
その前に、雨音がこのバリアーにぶつかって音を立てているこの感じが何だか癒される気がするのは何でだろうって思ったけど、まあいいか。
僕達は国王様のワープで花華さんのお部屋に帰ってきた。
ドアを開けて、入ってバリアーを解く。
すると花華さんがいらっしゃった。
そこへ国王様が先に出向く。
「花華さん。花華さん。ただいまです。」
「あっ!せんたろうさまたちなのニャーー!」
「ふふ。今日も愛らしいねえ。なでなで。」
「ふわふわなのだ。」
今回も、微笑ましい二人のやりとりになった。国王様のお目目がキランキランに輝いている。よほど好きなんだなあ、花華さんのこと。
と思ったらスバル様も出てきて花華さんを見つめている。その目はキランキランしていた。
この二人、花華さんがとても好きなんだなあ。思っただけで微笑ましくなる。
「..........」
「スバル。君も花華を補給するかい」
「はいっ!」
スバルは花華の側に行き、花華の頭を撫でる。「ふにゃう〜〜〜〜〜」と花華は声を上げる。
スバルは顔を赤らめている。
「ありがとうです。国王様。無事、花華を吸引できました。これで心置きなく帰れます。」
「良かったね。スバル。黒くんも花華さんとお話をしてみるといい。」
国王様はぼくを花華さんの前に持ってきた。
「あっ。黒くんなのだ〜。その丸い体、可愛いね。触らせてねなのだ。」
花華さんの手が伸びてくる。
触られる。
なかなかに気持ちがよかった。
花華さんの手もあったかくて、触られどころも良くて、マッサージをされているみたい。眠くなりそう。
「うむ。あいらしかったのだ。これ以上やってしもたらこの子寝ちゃいそうだよっ。それではのう、君達は帰るのかの?」
「うん。元の世界へ帰ります。また遊びにくるけどね。」
「またな。花華。また来るぜ。」
「またね、花華さん。黒のこと、覚えておいてね。」
「あーい。覚えておくなりっ。また来てねー。またねー。」
挨拶をし終えて僕達は花華さんのお部屋の中から国王様のワープで一瞬でまた元の乗り物のある山の中に来た。
雨はいつのまにか止んでいた。
「俺たちは、これから帰るのですね。また元の世界に。俺たちの世界に。」
「あぁ。そうだよ。たくさん学べたよね。」
「学べましたね!楽しかったです。俺は、俺の時代の良さを認識しました。俺たちの時代はこのままでいいのかもしれません。」
国王様は乗り物の設備を整えながらスバル様に答えている。
「そうだよ。俺たちは、俺たちの時代のままでいいんだ。俺達の時代を好きになってくれたならそれは嬉しかったよ。はい。できたよ。」
「帰るのですね。」
「そうだよ。いつでも出発できるよ。乗るかい、それともこの山から見える21世紀の風景をもう少し楽しむかい。」
「いいえ。帰ります。この時代の風景をとても見れました。花華にも会えましたし。心残りありません。」
「そうか。では、帰ろうか。乗ってね。」
みんなが乗り、国王は前の機械を動かす。
そして、乗り物は微細に動き出した。
それが少し揺れが大きくなり、また微細な動きになった。
「あー楽しかったなあー。」
「あぁ。さすが俺から生まれた子だ。」
「うえっ。何でぼくの体をつつくの、スバルさまー。」
「何でもないぞ。俺の自慢の子だと思っただけだ。」
「えぇー、そうなのー くすぐったいよー」
「そうか。そうか。」
「わーーっ。」
「スバル、やめておいてね。黒くん、くすぐったいみたいだよ。」
「はい。」
「ふふ。君は頭がいいから問題ないよ。今日はたくさんの経験ができてよかったね。」
「はい!色々、楽しかったですっ。」
「ぼくもーっ。」
「このまま乗っていれば、元の時代と世界へ帰れるからね。それまで、疲れただろうし、寝ていてもいい。パンを食ってもいい。」
「あっ!ぼく、食べるのー!」
「花華の愛を感じながらいただきます。」
「うん。スバルは分かってる良い子だね。」
みんなはパンを食べる。
「超うまいぞ!花華、前はこういうのを作っていたんだな。」
「ふふ。実は、少し良いかな。」
「はい。」
「バスという乗り物を降りた時に、また私の力でワープをさせていたんだ。」
「そうなのですか。」
「うん。バスのドアから降りる直前に別の場所へ繋げたんだ。世界は同じだけどね。花華のいるところは四国なのだけど、札幌という地名へ繋げたんだ。」
「札幌へ。なぜですか。」
「うん。花華は元々札幌出身で札幌育ちなんだ。元の職場へも家からバスで通勤をしていたんだ。それだから、何となくその雰囲気を取ってみたんだ。花華の元の職場の食べ物も食べさせたかったし。」
「なるほどっ。そのような事をされていたのですね。全く気が付きませんでした。」
「ぼくもっ。」
「そうだよね。それなら良かったよ。それだけさ。」
「なるほど。花華の元の職場だったのですね。あそこは。」
「そうだよ。また機会があったら来てみるといい。」
「行けたら、ですね。」
「うん。行けたら。」
そういえば、国王様はあの世界の人じゃないのにどうして花華さんと出会ったのだろう。
「それはね。」
わっ!国王様のお目目がキラキラしてるっ。
「俺と花華の意識が合わさったからなんだ。それだけだよ。」
「そうなのですか?」
「うん。だから俺たちは出会ったんだ。その次に私が花華を俺達の世界へワープをさせて、スバルとも出会ったんだ。良い出会いだよ。」
「なるほど。えっ!花華さん、僕達の世界に来れるのですかっ?」
「うん。来れるけど、今の時は、だよ。花華が俺達の世界の住人になるまでまだ相当時間がかかる。それまではあちらの世界で人生を楽しむんだ。」
「ほえー。」
「ふふ。また詳しく教えるからね。」
「はい〜。」
そして僕達は、眠りについた。
ーーーーーーーーー
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ーーーーーーーーー
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----間もなく、目的地へ着きます。到着のご用意をして下さい。----
そのアナウンスにみんなは起きた。
「そろそろだね。もうすぐ着くよ。俺達の世界に。時代に。」
二人は頷いた。
そして乗り物は少し動きを揺らして、無事に着いた。
国王はドアを開ける
すると元の世界や空気である国王様のお部屋の中に着いていた。出発する前の元の場所だ。
「おかえり。みんな。」
「帰ってきた、のか。」
「ただいまー!スバルさま、ぼく、またお腹すいたっ。早く帰ってご飯食べたいなっ。」
「お前は食い意地が張っているよな。」
「はーいっ」
「ふふ。お疲れ様。気をつけて帰るんだよ。俺はこの乗り物をどこかにしまっておくよ。」
「はい!国王様、お疲れ様でした。今回は楽しい経験でした。感謝の念が尽きませんね。」
「スバルが喜んでくれてよかったよー。」
「ぼくもまたーっ。」
「うん。またね。」
スバルと黒は家に帰る
国王は城の中で乗り物をしまう。召使いへただいまの挨拶をする
スバルは城を出ると、乗り物が普通にあったことに目を疑った。
「俺達の時代はこうして、身近に便利な物で溢れかえっているんだな。それで人は怠けてしまうのかもな。」
スバルさまがぼくを抱っこして乗り物に乗った。
「俺はそれでも良いものだと理解をした。人はそこからまた学ぶんだ。」
スバル様のお顔がかっこよく輝いている感じ
乗り物を発車させる。
そして屋敷に帰る。
辺りは昼間だ。
あの時間旅行から帰ってきた時は、出発をした時間のすぐ後の時間に帰ってきたのだ。
「スバル様、おかえりなさいませ!」
「スバル様、囲碁の続きでもされますかな」
「あぁ。ただいま。今は少し感性に浸っているんだ。また誘ってくれ。」
スバル様は廊下を通って自室へ行く。
そして、仕事がないかを調べる。
「あー、やっぱまだ来てないか。大分時間が経ったものだという感覚だからこういうのは慣れないな。」
「スバルさま、お仕事は来てないなら休んだほうがいいよ。ぼく、ご飯食べたいなあ。」
「そう、か。なら、ゆっくりするかな。黒。キッチンで何か作ってくるから待ってろ。あそこで。」
「はーいっ!」
食事の間へ行く。
そして待つ。
出てきたのはお鍋だった。お肉やお野菜やお豆腐やいろんな具材が入っていて美味しそう。
いただきますっ!
あっ、おいしいっ!さすがスバル様のお料理っ。
「ふっ。ゆっくり食えよ。食いしん坊。」
「うまいですっ。」
「俺も食うか。それで、食い終わったらまた普通の日常へ戻る。普通の日常が一番ありがたいことなのだろうな。仕事がねえならそれでいいか。食ったらやっぱ囲碁でもするかな。」
「うん、いいと思うよっ。ぼく、見ているからねー。」
「あぁ。さんきゅな。ふにふに。」
「スバルさんぼくのあだ名変なのつけてー。」
「いいよ。」
「うーん。」
俺は26世紀の日常へ戻った。ありとあらゆる便利なものが揃った時代。俺はここで生きている。ここで暮らしている。21世紀は俺の感性では生き難い気がした。まあここは慣れの問題なだけだが。それより上の30世紀とかも俺は生きていける気がない。ここ、26世紀が大好きなんだ。俺は、ここで生きる。
END
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