魔女の日記
らんぐどしゃ
今日、人間の子供を拾った。
「お前、捨てられたのかい。」
僕の家がある森の中に、みすぼらしい子供が座り込んでいた。
こんな森の奥に子供が一人でいる理由はだいたい決まっている。
おそらく口減らしなどの理由で捨てられたのだろう。
子供は僕の顔をじっと見つめると、こくりと小さく頷いた。
「…俺は愚図でのろまだから要らないんだって。」
ぽつりと溢した子供の言葉に思わずため息が出る。
自分で産んでおいてなんて身勝手なのだろう。産むか産まないかなど親の一存でしか決められないというのに。
しかし、自分に向けられた暴言を思い出しても悲しそうな表情や涙すら流さない子供が妙に気にかかった。
悲しいという感情を心の奥にしまい込んでしまったのだろう。
「…お前さん、魔女の弟子になる気はあるかい。」
これは何百年生きてきた魔女のほんの気まぐれ。
長く生きれば人間の弟子をとることもあるだろう。
子供は僕の言葉と共に差し出しされた手を、その小さな手で握った。
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