第14話


「今日、店行く。

出勤前空いてるなら、飯食って一緒に行こう。」



久しぶりに聞いた剛田大の声は、いつもより優しく感じた。



ちゃんと、同伴して店に来るってこと。

夜中の突撃自宅訪問も少なくないけど、お店に来るときは極力筋を通してくれる。



「鰻食いたいんだけど。精が足りなくてやばい。」


下ネタか。笑って返事をして、電話を切る。


すげぇ雨だから気をつけて来いよと言われたことを思い出して、窓から外を見下ろした。

傘が咲く街。





何となく、航大と初めて会った日のことを思い出した。

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