本来、<物語>ってのはそれこそ、基本的に、<普通じゃない出来事>なわけで、その中で生き延びられたり問題を解決できたりっていうのがもう<普通>じゃないよ

 ただ、<体験型アトラクションの世界>を素直に楽しめる人はそれでいいと思うけど、世の中にはそれを楽しめない人もいるよね。

 と言うか、自分が望んでもいないのに一方的にそんな世界に放り込まれて、それを素直に楽しめるってのがもう<並の神経>じゃないのか。

 でも、本来、<物語>ってのはそれこそ、基本的に、

 <普通じゃない出来事>

 なわけで、その中で生き延びられたり問題を解決できたりっていうのがもう<普通>じゃないよ。

 いくら<どこにでもいる平凡な普通の人>とアナウンスされてたって、普通じゃない状況を乗り切れる時点でもう普通じゃなくなってる。

 本当に普通の人だったら、ただのモブと同じだったら、最初の段階で積んでお終いだよね。

 とんでもない幸運でピンチを回避できたり、ポンと与えられたチート能力を即活かすことができたら、それは<普通>じゃないって。

 だけどそれこそが、<主人公の資質>なんだと思う。

 普通の人が普通のままで何とかできるのなんて、そんなの現実の中でそれこそ『普通に起こってる』ことじゃん? 別にわざわざフィクションとして見なくたって。

 だから、『普通じゃないことを起こす』のが<主人公>なんだよ。

 逆を言えば、

 <普通は起こらないことが起こった事例をピックアップしたのが物語>

 とも考えられるかな。

 だから、

『こんなのリアルじゃない!』

 って難癖付けるのがそもそも野暮だしナンセンスなんだよね。

 ましてや<体験型アトラクションの世界>を題材にした物語だと。

 主人公にばっかり都合のいい展開が起こったっていいじゃん? <体験型アトラクションの世界>だったらそれこそさ。

『<体験型アトラクションの世界>を楽しんでる主人公の様子を楽しむ』

 のだって、立派な娯楽だよ。

 <やってみた動画>

 とか、

 <歌ってみた動画>

 とか、

 <踊ってみた動画>

 とか、

 <ゲーム実況動画>

 とか、そういうのを楽しんでるみたいなもんじゃないの?

 自分がそれを楽しめないからってバカにするのとか、ホント何様?


 ただ、その一方で、私自身、

『自分が望んでもいないのに一方的にそんな世界に放り込まれて、それを素直に楽しめるってのがもう<並の神経>じゃない』

 って感じるのもまた事実。

 だとしたら、

『自分が望んでもいないのに一方的にそんな世界に放り込まれて、それを素直に楽しめなくて徐々に精神的に追い詰められていく主人公の姿を描く』

 っていう物語も成立するのか。

 それが面白いかどうかは別として。

 てか、それって<心理サスペンス物>ってことになるのかな?

 <異世界転生物のていを取りながら、主人公に都合のいいことばかり起こりながら、実は、有り得ないその状況を受け止められずに心が壊れていく主人公を描く心理サスペンス物>

 か。

 ……アリだな……


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