　中高生の頃、床屋とか美容院とかそういうものがやたらと嫌だった。というか今もそんなに好きではないが。

　小学生くらいまでは母に髪を切ってもらっていたので特に何も思わなかったのだが、中学生くらいになって美容院に行くようになると、なんだか、ものすごい面倒だなと思うことが増えたのである。

　というのも、なかなか素直にベリーショートに切ってくれる人がいなかったというのが非常に嫌だった。

　自分は短いのが好きだからベリーショートにしてほしいと言うと、大抵びっくりされた。そして「男の子みたいになるよ？」「本当にいいの？　えっ、ほんっとにいいの？」と勝手にあれこれ気遣われるのである。自分はそれがめちゃくちゃ嫌だった。髪を短くしたいから、鬱陶しいから切ってくれと言ってるのに、勝手に気遣われ心配され、希望通りに切ってくれないのである。はたまた「失恋？」とかド失礼なことを聞いてくるやつもいるのだ。

　これも自分が女の身体をしているからなのだと思うと腹が立って仕方なく、何度新しい美容院に行く時に男の振りをしてやろうかと考えたことか。

　というか当時の自分は男の子になりたかった。それを思えば「男の子にみえる？　大歓迎ですね！」って感じだったので、余計なお世話だった。「女の子に見えるくらいの長さにするね」も大きなお世話だった。あと前髪短い方が楽だから好きなのに、そんなに切られず「これくらいでどう？」って聞かれるのも嫌だった。自分、前髪は眉毛の上って言ったよな？　まだ眉毛の下の長さなんだが？　客の要望聞いてる？　とね。

　いっそ床屋にいってバッサリ切ってもらおうとしたこともあったが、店に入るなり「女の子？　ごめんね女の子のカットはしてないのよ」とか言われて帰った記憶がある。女のカットを受け付けてないなら料金表に女性○○円って書いてあるのおかしくないか？　問い詰めたいけど自分の理性が働いたので何もせず帰った。

　今はちゃんといい感じに短く切ってくれるところを利用しているのでそこそこ満足しているが、ほんと、なんでただ短くしてくれって要望が受け入れられないんだろう。勘弁してくれ。