第3話

 さて、ここが運命の別れどころだ。

 ここで選択肢を間違えれば、私の人生は終わる。

 もしかしたら、今の時点ですでに終わっているかもしれないけれど、それはとりあえず棚上げにする。


 カーティス様の質問に、私はどう答えるべきか考えていた。

 うーん、正直に話すべきだろうか……。

 いや、そんなことしたら、私は重い処罰を下されるだろう。

 私は借金を返済するために働かなければならない。

 処罰を受けるなんてことは避けたかった。


 それなら、カーティス様に嘘をつくの?

 いや、それもどうだろう……。

 彼は鋭い瞳で、じっとこちらを見ている。

 安易な嘘などすぐにでも見通しそうな目だ。


 それにしても、綺麗な目だなぁ。

 いや、目だけではない。

 高い鼻も、形のいい口も素敵だ。

 顔の造詣が美しすぎる。

 私は思わず、彼の顔に見惚れていた……。


 ……あ、いや、見惚れている場合じゃない。

 えーっと、何をしていたんだけ……。

 あ、そうそう、カーティス様にこの状況をどう説明しようか考えていたんだ。

 正直に話すのか、それとも嘘をつくのか。

 どちらか選ばなければならない。

 考えた結果、私の出した答えは……。


「カーティス様、なんてお美しいのでしょう。噂に違わぬ美貌です」


 はは……、カーティス様の美しさにあてられて、とんでもないことを口走ってしまった。

 こんなことを言うつもりはなかったのだけれど、つい本心からの言葉が出てきた。


「え……」


 カーティス様もびっくりされている。

 当然だ。

 この状況の説明を求めたのに、自分の容姿のことを言われるなんて思ってもいなかったのだろう。

 頭のおかしい女だと思われたかもしれない。

 まあ、半分くらいは正解なのだけれど……。


「申し訳ありません。緊張のあまり噛んでしまいました。えっと、はい、カーティス様の言う通りです。これをやったのは、すべて私です。あの……、私も本当はこんなことしたくなかったというか……、仕方なくやってしまったというか……、つい勢いに任せてしまったというか……」


 私はそれ以上言葉が続かなかった。

 一応正直に話したが、処分は免れないだろう。

 しかたなかったとはいえ、私はジャレット様にビンタをしたのだ。

 罰を受けるのが当然である。

 

 そう思っていたのだけれど、カーティス様からは、予想外の答えが返ってきた。

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