第81話 アイカの不満(27)
違うだろうか? 皆はどう思う? と、此の国の女王アイカへの、今の夫である少年王健太への裏切り行為に見える。とれる。官能的な悪しき行為に対して不快感を募らせて、不満を漏らして、嘆いてばかりいても仕方がないから話しを進めるけれど。王宮、後宮の裏、男女の関係に関する闇は、何処の世界、国、領地、集落内でも、お互いが、己の合方、伴侶に悟られぬように内密におこなわれていると思うから嘆いても仕方がないか?
特にこの二人、此の国の女王アイカと此の国の漢王になれなかった。なりそこねたウォンは元々夫婦、伴侶と言って良い程の間柄であり。あったのだ。
でも、只一度の戦の大敗──。
此の国がジャポネに大敗した時の、己の国の維持と、自分自身の女王としての立場と象徴としての立場を維持、持続させる為に、だけではない。
女性が己の身を犠牲にする時は、大体異性がらみ……。己の愛する男性(者)の身。命を守る為に犠牲にすることが多々ある。あるのだよ。
だから女王アイカも。
「お願い。健太~。今日から私はあなた~、だけの、物になります。なりますから~。あのひと~。ウォンの事~。彼の命を奪う罰、行為だけはやめて~。お願い。お願いよ~。あなた~」と。
此の国の女王アイカは元彼、婚約者、夫だった男──。ウォンの命乞いを、己の持つ、美しい紅玉瞳を濡らしながら。毎夜、毎夜、床で、二国の男王である健太へと泣きながら嘆願をした。したからこそ。敗戦国の漢王にも等しい地位にあった男──。ウォンの命が今ある。あるのだよ。
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