第11話 生きていて
目がまた覚めました。
もう死んじゃうんだ。。。
そう思ってたら玄関のベルが鳴りました。
扉を開けたらママ様がいて
その後、初カレ様まで来てくれました。
心友様もこんなあやえるとたくさん連絡とってくれて。
いつ死ぬのかわからない。
後遺症が辛い。
未来への恐怖と絶望しかない。
それでも支えてくれる人がいる。
消えたい。
楽になりたい。
でも、皆とまだ一緒にいたい。
ママ様と初カレ様も16年ぶりの再会でした。
でも、あやえるは、ぐったりしていて……。
誰かが、、あやえるの頭を撫でてる。
初カレ様が枕元に立っているのは匂いでわかりました。
「ごめんなさい。動けない。帰るとき、鍵締めてポストの中に鍵入れておいて。」
この一言を声に出すのもいっぱいいっぱいでした。
しばらくして何とか起き上がると、枕元に小さな紙袋がありました。
もうろうとする意識の中、袋を開けるとそこには指輪がありました。
実は以前、初カレ様がプレゼントしてれた指輪が痩せてしまって緩かったので修理に出していたのです。
初カレ様にお電話をすると、
「明日仕事休みだからまた行くか」
「指輪……前にプレゼントしてくれたじゃないですか。その指輪を死ぬまで外さないって、婚約指輪も結婚指輪もこれでいいって……あの指輪じゃなきゃ嫌だって言ったじゃないですか!」
「その指輪が戻ってくるまでのつなぎの指輪だよ。ちゃんと9号の指輪だよ。」
「もう限界なんですよ!後遺症もツラい。どんどん動けなくなる身体!未来に希望なんてないんです!もう生きてる事が辛いんです。死なせてください。……指輪は受け取れません。別れてください。」
「……とりあえず、明日、行くから。」
次の日、昼間から初カレ様が来てくれました。
ベッドから起き上がれずぐったりしていると、初カレ様が家に入ってきました。
初カレ様に支えられながらベッドから身体を起こされると、私は初カレ様を睨んでいました。
「指輪は受け取れません。帰って下さい。……別れてくださっ……。」
『別れて下さい』と、言いたかった。言うはずだったのに……言えませんでした。
初カレ様が泣いていました。
あやえるも泣きそうでした。
離れたくない。
初カレ様が無言で指輪を取り出して、また左手の薬指にはめてくれました。
抱きしめられて、隣であやえるの肩を擦りながら病院に連絡して下さり、今後の生活の事などを相談してくれました。
あやえるは、あやえる以上に先生に真剣に相談している初カレ様の姿を見て決意しました。
初カレ様と遠距離になっちゃうけど、実家に帰ろう。
今後の為にも、しっかり生きなくちゃ……。
電話を終えると、
「とりあえずご飯買ってくるから一緒に食べよ?」
初カレ様が、ご飯だけでなくケーキまで買ってきてくれました。
「一応、クリスマスだから。」
あやえるは色んな人から「本当に美味しそうにしあわせそうに食べてるね」と、言われます。
いつからか初カレ様は、恥ずかしがり屋でイチャイチャが苦手だったはずなのに、外でも
「皆見てますよ?」
「だから?」
と、あやえるに「あーん」をしてくる様になりました。
こんな甘えん坊さんだったかなぁ……。
あやえるにも「あーん」をしてくるので、
「じ……自分で食べられます!」
「ん?だから?」
と、「あーん」をしてくる様に……。
照れながら食べて、やっぱり美味しくてにこにこしていると、すっごい嬉しそうに微笑んでるんですよね。
それがまた……イケメンすぎて……。
ドキドキと好きが更新されちゃうんです。
ご飯を食べ終わったあと、ベッドで二人でまったりしていると、そのうちいつもの様に抱きしめて頭を撫でてくれました。
何回も名前を呼んでくれました。
しあわせだなぁ……。
珍しく初カレ様からキスをしてくれた時でした。
「こんな状況だからゴムなんて持ってきてないのに……はぁ……俺って。」
……本当に誠実な人なんだなぁ。
……本当に……そういう所、大好きです。
「初カレ様?あやえる、遠距離になっちゃうけど、生きてく為に実家に帰ります。実家なら都内だから職場に近いし、ここよりも治安がいいから。」
「……そか。でも俺も改めて思ったよ。ここは杖の女の子が一人で住むには危険過ぎるなって。」
実際にあやえるは、事故に合う前から何回もストーカーされたり、男性やワゴン車に追いかけられた事がありました。
ただでさえ、杖は目印になるのです。
明るい時間でも、何回も怖い思いをしました。
「ちなみに初カレ様?歴代の彼女の中で一人暮らし女子っていたんですか?」
「いや……皆、実家だったな。」
「じゃあ!初カレ様の初カノはあやえるで、且つ初一人暮らし彼女なのですね!」
「そうだね。」
「このままファイナル一人暮らし彼女にあやえるはなりたいです!どうですか?!初一人暮らし彼女の部屋は?!」
「……聞いてはいたけど、本当にミニマリストすぎて……部屋というより……留置所みたい。」
ちなみに初カレ様に初めて作った手料理は……そうめんと白菜ときゅうりの浅漬けでした。
乙女イメージってなんでしょうね(笑)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます