第9話 クリスマスの奇跡

 事故の後遺症の痛み。


 杖での生活の不自由さ。


 このまま目が覚めなければいいのに、と日和っ

てしまうことがあります。


 そして大好きな神田沙也加ちゃんの訃報。


 もう限界だと思いました。


「神様。死神様。天国のおじいちゃん。沙也加ちゃん。あやえるはもう限界です。誰でもいいからお迎えに来て下さい。」


 そう願いながら眠りにつきました。


 目が醒めると、不思議な事に身体の痛みが緩和されていたのです。


「まだこっちに来ちゃダメだよ。」と、言われているのだ、と思いました。


 その日は初カレ様とのデート。


 不思議な気持ちと、憂鬱な気持ちのまま映画デートをしました。


 そして、何故かとてつもなく疲れてしまい、初カレ様のお家へ行くと爆睡してしまいました。


 目が醒めると、なんとベッドの枕元に小さな白い紙袋が置いてありました。


「起きた?サンタさんが来てたよ」と、リビングこソファから初カレ様が微笑んでいました。


 状況が読み込めないまま、身体を起こし紙袋を開けると中に金色のリボンのついたプレゼント。


 包装用紙をはがすと、白くて可愛い小さな箱。


 ドキドキしながら箱を開けると、中にはハート

型モチーフのネックレス。


「あやえるさんが、ミニオンズ好きだから。黄色の宝石にしたよ」と、まさかのサプライズ。


 本当に王子様すぎませんか?


 どこまで王子様なのですか?


「だって……ネックレス。前ももらいましたよ?」

「いくつあってもいいんじゃない?」

「じゃあ……ネックレス更新します!ネックレスつけて下さい!」


 ベッドから出て、リビングの初カレ様の元へ歩こうとすると、なんと更に痛みが緩和しているだけでなく、杖がないのにスタスタと初カレ様の元へ歩いて行けたのです。


 クリスマスの奇跡……なのでしょうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る