家の倉庫が転移装置になったので、女神と四大精霊に農業を仕込んで異世界に大農場を作ろうと思う ~史上最強の農家はメンタルも最強。魔王なんか知らん~
第228話 風の精霊・セルフィさん、柚葉義姉さんとショッピングへ出かける ~ミアリス様への背任行為~
第228話 風の精霊・セルフィさん、柚葉義姉さんとショッピングへ出かける ~ミアリス様への背任行為~
風の精霊・セルフィさんは悩んでいた。
「ミアリス様さー。一応確認したいし」
「どうしたのよ。改まっちゃって。わたし四大精霊の上司だからね? なんでも遠慮しないで言っていいのよ」
ミアリス様は責任感のある女神。
春日大農場では黒助がいない際の監督を務めるし、四大精霊だけではなく全ての従業員の要望にしっかりと対応する。
相手に寄り添った親身な態度はまさに女神としてあるべき姿を体現しているとも言える。
「最近、鉄人と一緒に買い物に行ったんだし。そしたらさ、どこのお店も清楚系って言うんだし? こう、ヒラヒラ、フリフリーな感じの服が多いんだし」
「そうねー。わたしも雑誌読んでるけど、今年の秋って清楚系がトレンドよねー。スカートも膝上10センチとかの程よい丈が流行みたいよ」
「やっぱりそうだし? ……で、ミアリス様。次のデートに着て行く服の相談したウチが言うのもアレだけど。このスカートなんだし?」
「これ? ふっふっふー! これはね! この間買った、タイトスカートよ!! 膝上25センチって言う、絶妙に見えそうでギリ見えないと見せかけて、しゃがんだらガッツリ見えるの!! タイトスカートの特徴よね!! 超おすすめ!!」
「えっ、あの、ミアリス様? 今年の流行りって清楚系だし?」
「そうね! タイトスカートって清楚じゃない? ほら、プリーツスカートとかって風吹いたらパンモロだけどさ! タイトスカートって風に耐性あるじゃん?」
風の精霊。何かを悟ったご様子。
セルフィは思った。
「パンチラ前提でデート服考える時点で、もしかして清楚からかけ離れてるし?」と。
◆◇◆◇◆◇◆◇
翌日。
現世の春日家では。
「あっ! セルフィさん! こんにちはー! どうしたんですか? ニートなら出かけてますよ?」
ついに最近は「鉄人さん」とさえ呼ばなくなった義兄の不在を笑顔で伝える柚葉さん。
「や、今日は鉄人とは約束してないし。あのー。柚葉さんお暇だし?」
「はい! 今日は午前で大学終わりでしたから! よろしければ、お茶でも飲んでいきますか? どうぞどうぞ! 兄さんが買って来てくれた最中がありますよ!」
「あ、いや、その……。柚葉さんと一緒に、お買い物行きたいし!! ……ダメ、だし?」
「いえいえ! 全然大丈夫ですよ? 行きましょう! ……と言うか、セルフィさん。改めて可愛いですね。今の上目遣い、不覚にもドキッとしてしまいました。……どうしてニートと付き合っているんでしょうか。謎です」
「ほ、ホントだし!? ありがとーだし!! 柚葉さん、鉄人とあんまり仲良くないから、ウチの事も嫌いなのかと思ってたし!」
「そんな事ないですよ! ニートは嫌いですけど! セルフィさんは大好きですよ! ギャルなのに礼儀正しいですし! お話してると楽しいですし! 何ならニートを連れ出してくれるとこにも感謝してますし!!」
「ふぁぁっ! 嬉しいし! あの、義姉さんって呼んでもいいし?」
「ニート関連で義理の姉になるのはちょっと……。姉さんなら全然オッケーです!!」
「じゃあ、柚葉姉さん!! へへへ、ちょっと恥ずかしいし!!」
「……可愛いですねぇ。……どうしてニートの彼女に。不思議過ぎます。むむむ」
セルフィさん。ミアリス様を裏切って、柚葉姉さんの弟子入りを果たす。
それから2人はショッピングモールへと仲良く出かけて行った。
セルフィは清楚も着こなせる、万能ギャルになるために。
◆◇◆◇◆◇◆◇
いくつかショップを巡っていくうちに、セルフィは柚葉に完落ちしていた。
「こっちのブラウスとかどうですか!? セルフィさん、スタイル良いですから! ちょっとセクシーだけど、清楚な感じになりますよ!」
「柚葉姉さん、すげーし!! オシャレ強者だし!!」
「んー。セルフィさんは結構濃い目の色の服が多いイメージなので、ここはパステルカラーがいいかもですねー。あっ、下着の色には注意ですよ! 透けちゃいますから!!」
「なるほどだし! 勉強になるし!!」
ミアリス様の教えでは「ブラジャーの紐とか出してなんぼよ! 見せブラじゃないヤツを出していって、アピールするの!! カフェでお水をわざと胸にぶっかけてね、透けブラを演出する技法もあるわ!! これ豆ね!!」が定説であった。
「下着が透けないように気を付けよう」と言う注意事項自体が既に聖女の神託。
セルフィちゃんの中からミアリス様が少しずつ消えて行く。
「やっぱり合わせるならロングスカートだし?」
「んー。そうですねー。確かにロングは無難ですし、脚も隠れるので楽なんですけれどー。あまり露出を抑えてしまうと、男の人の注意を引けなくなっちゃったりしますから。ほら、デートの時によそのミニスカートの女の子を目で追われたりしたら悲しいじゃないですか!」
「分かりみが深いし!!」
「なので、ここは敢えて少しだけ丈の短いスカートをチョイスして、長めのソックスやロングブーツと合わせるのもありだと思います! 清楚な感じは残しつつ、ちょっぴりセクシーみたいな感じです!!」
セルフィさん、目から鱗案件に遭遇する。
彼女の中で、ミアリス様の言葉が脳裏をよぎる。
「スカートは短め! 見せパンはなし!! 見られても良いパンツを履く! そして何なら見せる!! これが必勝法よ!! どんなもんじゃぁぁい!!」と言って、立派な胸を張る女神様。
「あ。多分ウチ、色々と勘違いしてたし」と、なんだか視野が広がったギャルである。
なにせ、セルフィさんは17歳。
これまではコルティオールのみで活動しており、現世のファッションにも疎かった。
そこにミアリス流コーデをぶっこまれたため、もはや疑いもせずに妄信していた事実。
「セルフィさーん? どうしましたー? 疲れちゃいましたかね? ちょっとカフェでお休みしましょうか!」
「……柚葉姉さん! ウチにこれからも色々教えて欲しいし!! あー! 未美香いいなぁー!! こんなお姉さんがいつも家にいるとか! ちょーうらやまだし!!」
「はうっ……! なんでしょうか、この新鮮な感覚は……!! ギャルって可愛いんですね……! 私で良ければいつでもお付き合いしますから! 気兼ねなく遊びに来てくださいね!! 待ってます!!」
なお、柚葉さんも素直系ギャルの魅力にハマりつつあった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その日の春日家の夕食では。
「あれー? お姉! 鉄人のおかずは?」
「あるじゃないですか! これです!」
「あ。ごはんですよだ……。しかもほんのちょっぴりしか瓶に残ってないよ。ねね、お姉? 鉄人に何かされたん? 今日は当たり強くない?」
「これは天罰です! あのニート、恵まれすぎてるんです!! どこかでバランス取らないとですよ!!」
未美香は首をかしげながら「んー? なんかよく分かんないけどー。でも、お姉が言うならそうなんだねっ!!」と納得した。
なお、2日後にセルフィが早速遊びに来て「鉄人が優しいんだし!」と嬉しそうに語る姿を見ていた柚葉さん。
「はうぅっ……!! ニー……鉄人さんに辛く当たると、セルフィさんが悲しんじゃうじゃないですかぁ!!」と、ギャル可愛さにニートへの当たりが一周回って柔らかくなったと言う。
恋するギャルはニートを救うらしかった。
そのせいで、柚葉姉さんは複雑な心境に悩まされるようになった。
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