?×9=Tも
君は右上のマスに手を触れた。3のマスだ。
指が接触した部分だけ、色が変わる。白が黒に。
君は一度、手を離す。すると黒かった部分がすっと元の白に戻る。
ディスプレイはスマホやタッチパネルのように圧力センサーが搭載されているらしい。触れた部分だけ色が変わる仕組みのようだ。
あらためて君は腕を伸ばす。一本だけ立てた人差し指でディスプレイに触れる。
君はそのまま指を離さずに、右上のマスに円を描く。
指を離したが、丸印は消えない。
二秒ほどで左隣の黒丸がひっくり返るような動きを見せ、白い丸に変わった。二つの白い丸に挟まれて、黒い丸が白に変化した。
カシャリと音がする。おなじみの音だ。
扉が動き始めた。君は隣の部屋に移動する。
今度の部屋には謎の円柱形の水槽はなかった。だが、ディスプレイはある。
今度も円が並んでいる。さきほどと同じように。君が書き加えた白い丸と、挟まれて白くなった丸もそのままだ。
もう一度、確認しよう。念のためだ。
正方形につくられた九つのマスがある。左上が1、その右隣が2、さらにその右隣が3、下の列に移り、同じように左から右へ、4、5、6、最下段の列を右から7、8、9とする。
123
456
789
上の列、1、2、3と白い丸が並んでいる。
二列目、中央の列の左4に黒い丸、その隣、全体の中央には白い丸。
三列目の左には黒い丸。全部で六つの丸印がある。白が四つ、黒が二つだ。
○○○
●○
●
君は考える。ディスプレイの謎もそうだが、もっと気になることがある。
これはいつまで続くのか、と。
そろそろ君は嫌気がさしていることだろう。ディスプレイの謎を解いて、扉を明けるという作業のループにあきあきしているかもしれない。
それでも、君は扉を開けるだろう。答えはその先にしかないはずだと思うからだ。
君は息苦しさを感じる。扉を開けなければ、窒息してしまうかもしれない。
ディスプレイ上のマス目には六つの丸。
さぁ、どうする?
君が決めるのだ。
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