第3話 気分は絶頂♡♡♡
「やった、やった、やったあああああああああああ!」
私は自室に戻るとそのままベッドに飛び込んだ。
そして布団を被り枕を顔に押し当てる。
「きゃああああああああああああああああああああ!」
そのまま思い切り叫んだ。
天にも昇る気持ちってこういう事なのだろう。
絶望から一転、絶頂へ、振られる覚悟でいたのに、お兄ちゃんからのまさかの付き合おう宣言。
「嬉しい嬉しい嬉しすぎる、嬉しすぎるんですけど!」
やっぱりお兄ちゃんは最高だった。最強だった。
まさか、まさか……こんな日が来るなんて……。
神様なんて信じていないけど、でも願う事しか私には出来なかった。
ずっと苦しんで苦しんで苦しんで苦しんで、死にたい程に苦しんで、忘れようとして、嫌いになろうとして、結局出来なかった。
絶対に報われない恋だとわかっても、それでも恋し続けた。
自分で言うのもなんだけど、そんな悲恋が……まさか実るなんて。
「え? え? もしかして相思相愛だった? もしかしてお兄ちゃんも?」
そうだよね? 人から好かれる為にはその人を好きになる事が鉄則だし。
私がここまで好きになったのは、ひょっとしてお兄ちゃんも私の事を好きだったからとか?
「えへへへへ、うへえええぇぇ」
そうだったのか、お兄ちゃんも私の事大好きだったのか!
兎に角、付き合うって言ってくれたんだから、私はお兄ちゃんの彼女って事、かのじょ~~、彼女↓? 彼女↑?
発音なんてどうでもいいか。
お兄ちゃんの彼女……それは~~わ、た、し!
ああ、皆に言いたい、全世界に宣言したい、お兄ちゃんの彼女は私だって。
ああ、どうしよう、今までの妄想が頭の中で洪水の様に押し寄せてくる。
何も考えられない。
でも……わかってる、こんな事は異常だって事はわかってる。この先大変だって事も理解してる。
お父さんにもお母さんにも友達にも、誰にも言えないって事も……わかっている。
誰からも祝福されない恋って事はわかっている。
でも、でもお願い、今だけは、今、この時、この瞬間だけは、嬉しさを噛みしめさせて、幸せな気持ちでいさせて。
「えへへへへ、うえへへへえぇ」
でも、どうしよう、どうすれば良いの? 付き合うって……何をすれば良いの?
違う、そんな事は勿論知っている。今まで散々友達の恋愛相談を受けて来たのだから。
知識としては完璧だ、お兄ちゃんとしたい事だって、もうノート数十冊に書き留めてある。
だけどお兄ちゃんは言った。兄妹らしい付き合いをって……。
兄妹で付き合うって恋愛相談は今まで受けた事は無い。
兄妹らしい付き合いって、なんだろうか?
私は枕から顔を上げた。
そしてお兄ちゃんを枕に見立てる。
「手を繋ぐのは大丈夫だよね? えっと……ハグも大丈夫だよね? デートだってしている兄妹もいると思うし、海外じゃ……キスだって……中にはもっと凄い事だって……」
だから……大丈夫だよね?
とりあえず……今まで少し距離を置いてしまっていたから、明日からお兄ちゃんとの距離を縮めて行こう。
お兄ちゃんとお話したい。一緒にいたい。そして……くっつきたい。
子供の頃の様に、あの頃の様に……。
「あの……頃……え、うへええへへへえぇぇ」
あの頃……小学生の頃は……一緒にお風呂に入ってたし、一緒のお布団寝てた事もあったし……。
そう、兄妹は皆してるよね? つまりはそういう事だ。
とりあえず、朝、お兄ちゃんを起こしに行こう、前からずっとしたかった。
まあ、そっと寝顔を見に行った事は数えきれない程してたけど。
今は彼女なんだし、大手を振って見に行ける。
「おはようのチューとか、しちゃったり?」
ああ、嬉しい、楽しい、なんか周囲が全部ピンク色に見える。
そして全ての物がキラキラと輝いてる。
顔がにやけるよーー、どうしよう……元に戻らない。
お兄ちゃんは私の彼氏……そう考えただけで……。
「く、くく、くくくく、ふふふふ、あははははははあはああ」
止めようとしても止まらない、感情がコントロール出来ない。
笑いが止まらない……嬉しさが私の中から溢れ出す。
ああ、寝る前にお兄ちゃんの所に行きたかった、おやすみって言いたかった。
けど、こんな顔じゃお兄ちゃんから気持ち悪がられそう……だからその気持ちをグッと堪える。
とにかく明日までに落ち着かなきゃ、明日は早起きして朝食とお弁当を作って、お兄ちゃんを起こして、お兄ちゃんと一緒に学校にいく。
明日からお兄ちゃんの為に、妹として、そして……彼女としてお兄ちゃんのお世話が出来る。
お兄ちゃんに気に入って貰う為に、私を彼女にして良かったって思って貰う為に……私、頑張るからね!
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