第70話 エクセレントマイティ突撃行
「それっ、今なのじゃー!」
ディアボラが俺のスキルと儀式魔法の効果を入れ替える瞬間。
ほんのひと時だけ城塞魔法が消える。
このタイミングで、俺たちは外へ飛び出した。
雪崩込もうとしたモンスターたちは、俺がガードで食い止めながら「うおおおおっ!!」『ウグワーッ!?』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』押し返していく。
地すべりよりは全然軽い。
魔法陣を発動させたディアボラは、橋の王国に残らねばならないのだが、ここにも解決策を用意しておいた。
彼女の腰にロープを巻き付けて、俺とつないでおいたのだ。
「ディアボラ回収!」
ロープを引っ張ると、城塞魔法の窓口からスポーンとディアボラが飛んできた。
小さいからこそできる技だな。
「うおーっ! すっごい勢いで引っ張られたのじゃ~!!」
「あれだけ引っ張られて無事なディアボラも、大概頑丈だな」
「普段は忘れているが、やはり彼女は元々魔王の眷属なのだな」
引っ張られても大丈夫とかいうところで、魔王の眷属だと納得されてしまうディアボラ。
「これでエクセレントマイティ全員ですね! 行きましょう!! カノンナックル発射!!」
『前方に敵多数。適切な運用感謝する。行くぞ!!』
エクセレンが道を切り開くとばかりに、腕を大車輪に回転させながらカノンナックルを発射した。
遠心力で加速したカノンナックルが、猛烈な勢いで植物モンスターたちを吹き飛ばしていく。
『ウグワー!!』
「よし、突っ切るぞ!!」
「植物避けの薬剤を撒きながら行くとしよう。これで幾らかは時間稼ぎになる」
ウインドが周囲に粉をばら撒きながら走る。
きちんと状況に応じた道具を用意していたのだな。
さすがだ。
植物モンスターたちは、ウインドが粉を撒いた辺りには近づけないでいる。
「あれは何なんだ?」
「濃度の高い塩と、塩の中でも生きられる菌を配合したものだ。あの場所には当分植物は生えず、菌類が暮らすようになるために土壌の栄養も吸われる」
「それはそれで大変なんじゃないか」
「ごく一部であれば、それは環境によって希釈される。なくなりはしないが無限に薄められて効果を発揮しないものになる」
「うーん?」
エクセレンはよく分からなかったらしい。
俺も分からんから安心して欲しい。
正面の敵は、俺が押しのけ、ジュウザがクリティカルし、エクセレンが切り開く。
後続はウインドが断つ。
俺の背中にロープでくくりつけられたディアボラが、紙に魔法陣を書く。
完璧な布陣だ。
俺たちの勢いは誰も止められない。
城塞魔法は半日持つらしいが、それだって不確定要素があってどうなるか分からない。
ひょっとすると、いきなり魔王が出てきて攻撃をしてくるかもしれない。
そうなれば、橋の王国はすぐに陥落してしまうだろう。
俺たちは早急にエントレットを見つけ出す必要がある。
「よし! ここより拙者は樹上を駆ける! あやつがどこにいるかは知れぬが、必ずやモンスターどもの動きを追えば、兆しは分かるだろう! お主らは派手に暴れてくれ!」
「よっしゃ! 任せろ!」
押し寄せる植物モンスターを、ガツーンと受け止める。
……と思ったら、ふっとばしたカノンナックルが戻ってきて、帰還ざまにモンスターたちをぶっ飛ばした。
そしてエクセレンの腕にカシャーン!
「範囲攻撃を手に入れてしまいました!!」
「光らせていないのにこの威力は凄いなあ」
感心しながら盾を構える。
こうしている間にも、蹴散らしきれなかった植物モンスターが寄ってくるからだ。
いやあ、数だけはいるなあ。
これを頭上からジュウザが見張っている。
モンスターの流れを読んでいるな。
そしてこの流れの先に、エントレットがいるというわけだ。
「いたぞ!」
「もう見つけたのか!」
「うむ! 露骨にモンスターの密集度合いが薄いところがあって、そこが円形になっている。まるでその地を踏まぬように注意しているかのようだ。そしてエントレットは種になっている……」
「つまりそこに埋まっているということだな」
「分かりやすくその先を話してくれてありがとうウインド」
ジュウザは確信が持てないことについては、言葉を濁したりするからなあ。
「いや、あくまでありえるのではという話だ。獲物が本当にいるのかどうかは最後はお前の目で確かめよ、という通りだな」
「ウインドのナゾマーことわざです!」
「本当に言い回しが面白いのと、分かりやすくて楽しいのじゃー」
ウインドのナゾマーことわざ、エクセレントマイティで大流行である。
エクセレンがディアボラと二人で、めちゃくちゃ面白いよねー、そうじゃなーとか盛り上がりながら、植物モンスター共を吹き飛ばしながら突き進んでいく。
「そーれ! ツイスター発動じゃ! 吹っ飛べモンスターども!」
儀式魔法も効果を発揮した。
植物モンスターの包囲をぶち抜いて、到着したのは周囲の木々が、一本もなくなった場所。
ここに自分を埋めるために植物をモンスター化したのかも知れんな。
「はーい! じゃあここでエントレットが埋まってるあたりをまとめて吹き飛ばしまーす!!」
エクセレンが高らかに宣言した。
『ちょ! ま……!』
どこからか慌てる声がしたぞ。
だがもう遅い。
「シャイニングッ!! カノンナックール!!」
地面に向けて、ギラギラと輝くカノンナックルがぶっ放された。
それは一帯の地面を吹き飛ばし、埋まっていたであろうエントレットの種子を粉々に打ち砕いたのである。
植物モンスターたちが動かなくなり、ただの草木に戻っていく。
「ああ、植生が崩れてしまった……。許さん、許さんぞ魔王……!!」
ウインドが何やら、怒りに震えているのだった。
パーティー名『エクセレントマイティ』
ランク:A
構成員:五名
名前:エクセレン
職業:エクセレントファイター
Lv:35→39
HP:373→405
MP:276→300
技 :魔技ミサイルスピン クイックドロー バックスタブ パイルバンカーブロウ
エンタングルブロウ
魔法:マジックミサイル(中級):派生ドリルマジックミサイル(中級) ヒール(中級) ライト(中級)
覚醒:シャイニング棍棒 グランド棍棒インパクト3 シャイニング斬 シャイニングアロー シャイニングボム シャイニングカノンナックル
武器:聖なる棍棒(第三段階) 星のショートソード 鋼のトマホーク
ガイストサーベル 帝国の弓矢 魔王星の欠片 カノンナックル
スタッフスリング+炸裂弾
防具:チェインメイルアーマー(上質) ドラゴニアンのウェポンラック
名前:マイティ
職業:タンク
Lv:87
HP:1250
MP:0
技 :ガード強化(特級) カバーガード(特級) エリアガード(特級)
マジックガード(特級) マインドガード(特級) パリィ(特級)
ガードムーブ(特級) ヘイトコントロール(特級) マッチング(中級)
ベクトルガード(初級)
魔法:なし
覚醒:フェイタルガード ディザスターガード2
武器:なし
防具:熟練のプレートアーマー、??のビッグシールド、星のマント
名前:ジュウザ・オーンガワラ
職業:ニンジャ(オーンガワラ流アークニンジャ)
Lv:84
HP:680
MP:535
技 :クリティカルヒット(特級) デックスアーマークラス(特級) ラビットムーブ(特級) フェイタルヒット(中級)
シュリケンスロー(特級) ハイド&シーク(特級)
魔法:カトン(特級) スイトン(特級) ドトン(特級)
覚醒:クリティカルヒット(極)
武器:投擲用ダガー、星のダガー
防具:なし
名前:ディアボラ
職業:アークメイジ
Lv:154
HP:490
MP:2600
技 :テレポート
魔法:(一部のみ記載)ヒーリングサークル ウォーブレス ステイシスサークル
メテオフォール ライジングメテオ ボルカニックゲイザー
ツイスター メイルシュトローム ランドスライダー
サンドプリズン コールクア
覚醒:魔法儀式行使
武器:儀式用ダガー
防具:魔将のローブ(サイズSS)、星の帽子
名前:ウインド
職業:アルケミスト・レンジャー
Lv:42→44
HP:257→269
MP:0
技 :調合
魔法:なし
覚醒:なし
武器:弓矢 ダガー 小型ハンマー くさび
防具:レザーアーマー
道具:採集道具 調合道具 ウインドの記録帳
加工道具
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