塩飴は、ほんのちょっぴり刺激的で

ちいさいころ、塩をなめるのが好きで

ふりかけの塩を戸棚から出しては

てのひらに二回振って

でてきた小粒の塩をぺろりとなめた


思い起こさせる塩飴は

本物の塩よりはしょっぱくないけれど

副交感神経が働いてくれる

なめすぎると舌がひりつく


飴は、途中で噛み砕くのが癖で

直そうと必死になった。飴の味が続いて欲しい

意思は固く。どうにか直せて嬉しい


あまじょっぱい

それが続くと喉が渇く

でも、なにか飲んでしまうと塩がどっかにいってしまって

おしいような気がするから、少しだけ我慢する

我慢が終われば水を飲んだ

また塩飴をなめた


なぜ、甘いものをなめないのか、考えたことがある

甘いものはベトつくしすきじゃない

だから、少しすっぱいものがすきだ


べたべたべたべた

ぬちゃりと水音が聞こえる

苦手で我慢をして舐め終わるまで我慢して

ろくに水ももらえず

おいしくない色つきの飲み物を渡された

副交感神経が死んでいる

幸せじゃないから噛み砕いてしまいたい


また布団から抜け出して塩をなめる

あまじょっぱい

とても幸せに思えた

今も、塩飴をなめると

あのとき、あのばしょ、唯一の食べ物が

幸せだと思わせてくれる

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