あとがき

お礼とお願い

〇まずはお礼


 最後までお読みいただきありがとうございました。

 何度も書く気をなくしましたが、最新話のPVの数にいつも励まされて、どうにか最後まで書くことができました。

 みなさまがいらっしゃらなければ、この45万字の物語は完成しませんでした。

 心から感謝申し上げます。


 この作品は丹精込めて作ったつもりの「くさや」です。

 カップケーキのように、万人受けはしない物語です。

 しかしながら、想定していない数の方に読んでいただけました。



〇執筆の経緯


 この物語のストーリーは20年以上前に考えたものです。

 頭に浮かんだ順番は次の通りです(括弧内はジャンル)。


 ①サレの子供たちの時代(SF)

 ②デウアルトという国の成り立ち(ファンタジー)

 ③サレの前の世代(SF)

 ④サレの時代(歴史)


 ③を電撃小説大賞に送って以来、あれこれと考えていたのですが、小説として書くには問題がふたつありました。


 ・SFやファンタジーでは書ききれない

 ・固有名詞がはまらない


 架空の世界を舞台にする場合、固有名詞はこだわりだすときりがありません。

 しかし、たとえば、ワシントンという名前を出すと、米国や英国を思い出してしまい、嫌になってしまうのです。

 それで、頭の中でいろいろとストーリーを考えながらも、小説という形にはできてこなかったのですが、ある日、オリエンタリズムのことを考えていたときに解決しました。

 人間というのは、自国から地理的に離れた世界の文物に幻想(ファンタジー)を抱くそうです。距離があればあるほど。

 実際、近代の欧州人が日本の文化に幻想を抱いたり、逆に、近現代の日本人が欧州の文物にファンタジーを感じ取ったりしています。

 ならば、いちばん地理的に日本人がいちばん幻想を抱くのは、地球の裏にあるブラジルやアルゼンチンあたりになるので、そこの固有名詞を使えばよいのではないかと考えました。

 それで、ポルトガル語の固有名詞をウィキペディアから引っ張って来て、その母音を、定めた規則に従って変換して用いました。

 たとえば、ネルソン・セラがノルセン・サレになりました。


 その思い付きや過程はさして重要ではなく、そういう風に固有名詞の付け方が決まると、自分の中で、一気に、頭の中の空想を物語の形にしようという気になりました。そこが大事でした。


 ジャンルはSFとファンタジーは書けなかったので、読みなれていた歴史(書)の形にすることにしました。

 最初は、陳寿の『蜀書』を模倣しようとしたのですが、3万字を書いた辺りで、漢文調で書くのに飽きてしまい、また、読んでもつまらないだろうと思い、書くのをやめてしまいました。

 その休んでいた手を、また動くようにしてくれたのが、中倉玄喜さんが訳した「[新訳]ガリア戦記・下〈普及版〉」でした。

 カエサルの報告書(回顧録)に、訳者が訳注でときどきツッコミを入れるスタイルがおもしろかったので、これで書いてみようと思ったのです。



〇本書を書くうえで、参考やオマージュにした作品


 上にあげた二冊と『本城惣右衛門覚書』がなければ、本作を書くことはできませんでした。

 また、その他にも、私が、庵野秀明監督が好きなこともあってか、過去に楽しませてもらった本、マンガ、映画へのオマージュがたくさん散りばめられてあります。

 お気づきの方は、コメントいただけるとうれしいです。



〇つづきについて


 つづきを読みたいと考えておられる方がいたら、申し訳ありません。

 いまのところ、書く気はありません。

 理由は、長編小説を書くのが思った以上にしんどかったからです。書くとしても、本当に当分先になると思います。

 伏線張りまくりの物語になっていますが、歴史書というのはそういうものだとご理解いただければと思います。

 「スラザーラ内乱期注解」という作品は、私の頭の中で定まっている「後の歴史」を前提に、「今」を書いた物語です。



〇歴史の実利について


 最後に、すこし、私事を。

 「歴史が何の役に立つのか」と問われても、私にはうまいことは言えません。

 しかし、私は事情があって、高校三年生のとき、受験勉強がほとんどできませんでした。

 それでも、授業を受けなくても、世界史と国語ができていたので、授業料の安い大学へ滑り込むことができました(全然興味のない学部で地獄を見ましたけどね)。

 また、入社して、最初の上司が歴史好きだったので、それをきっかけにずいぶんとかわいがってもらいました。

 それに加えて、歴史好きが高じて本作を書くことにより、いろいろな人に出会い、コメントでやりとりをしたり、リワードをいただいたりすることもできました。

 私の中で歴史は、ずいぶんと実利のある存在です。

 中学の二年生まで、私は本当に恥ずかしいほど勉強ができませんでした。

 それが変わったきっかけは、社会の授業で「ディアドコイ」という言葉のうつくしさに惹かれて、歴史を好きになったことです。



〇推敲に関するお願い


 カクヨムコン8の結果が出次第、本作の推敲をして、ほかの小説投稿サイトに載せたいと考えています。

 「ノベルアップ+」がいいかなと思っているのですが、ご意見があれば、ご教授ねがいます。参考にします。


 以下に、気が付いている問題点などをまとめましたので、お気づきの点があれば、教えていただけると助かります。

 また、読んでいて気になったところなどあれば、コメント願います。

 あと、参考にしたいので、私の書いた物語に似た小説があれば、教えてください。商業作品でもネット小説でも構いません。読んでみたいと思います(酒見賢一さんの「後宮物語」は勧められて半分読みました。田中芳樹さんや塩野七生さんの作品はすでに楽しんでいます)。

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