第20話 視線

そこをすうっと通り抜ける人影を見て、私の心臓は3秒間停止した。

なんてことだ。この町は無人ではなかったのか!


私はあの大爆発した4号機の映像を知っている。政府から緊急避難命令が出され、町民はみな西方の小春町や桑折町に退避したことを知っている。なのになぜ、人が残っているのか!


私は物陰からジッと人影を追った。年端も行かぬ少女のようだった。

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