第14話 禁断

こうすればよかったのだ。簡単なことだった。

「スーパーに行ってくる」

家に食べるものがないのなら、スーパーに行けばよいのだ。


私は素早く支度を済ませ、近所のスーパーマーケットに向かった。お金は持っていなかった。でも良いのだ。どうせ店員は留守なのだし……。


このとき罪悪感がなかったと言えば嘘になる。しかし、私たちが生き延びるためにはこうするしかなかったのだ。私はスーパーのガラス戸を打ち破って、中に入った。


スーパーの中はひどかった。商品はあちこちに飛散し、腐った生鮮食品がひどい臭いを放っていた。私は息を止め、レトルトの食品や缶詰め、まだ食べられそうな野菜、米に乾麺などを詰め込めるだけリュックに詰めた。帰り道はジットリと、誰かに見られているような気配がした。私は自然、小走りで家に帰ったのを憶えている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る