5/23(2020) r18 6:56

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王都での夜


俺の番は、仲間2人に挟まれている。

俺以外の男に!と思ってしまう。


さっさと巣に連れ帰りたい。

さっきからそればかり考えている。


それを防ぐための布陣だとは理解している。

確かに、ああしていないと俺は、番を拐ってとっとと帰るだろう。


それを阻止する意図も分かっている。

だが、それにイライラするのもわかっているだろ?


そうか。


番が可愛い。

そうだ、今回の活躍を見れるようにする。

竜の翼として


噂にもなる。

それに、新規加入のセリが活躍を見せたとなれば


余計な妬みも退けられる。

実際、セリの水魔法を使ったおかげで

経費がかからなかったと

全面氷漬けは、後処理が面倒らしい。



依頼主のギムナスが喜んでいる。


顔には少し出た。

セリが褒められるのはいいが、余計な奴の視線は邪魔だ。

俺の番を見るんじゃない!



拠点へは夜にたどり着くには、しんどいだろうと

明日になるのは飲み込んでいるが


はやくセリを堪能させろ。

ベッタベタに褒め、甘やかして

ベッドで過ごすんだ。俺の巣でな


こっち向いた!

かわいい、可愛い番を俺のものだけに


「ご苦労だった」

ギムナスの言葉で意識を戻す。


「馬車まではダメよ」シュルトがばっさりいうが

肩に手くらい置いても良いだろ?


宿で2人だ。


明日の朝、初めての


初めの印象が肝心

やり直しがきかないから


と何回言われたか


セリのためだ

で押し切られる。その結果はセリのためになっている。





ーー


いつもの距離の筈なのに

その視線を受けてから逃げているばかりだった。


視線を外し、いつ向き、呼吸をつめる。


猛獣と会ってしまったなときに隠れたみたいだ。冗談ぽく考えるが、

本能的に違いはない。


もう一度見れる気がしない。

真っ直ぐ射るように向けられた視線は、

甘さだけでなく情欲に満たされていて


とてもじゃない、見返せない。

まだ見つめられている熱を感じる。


ジリジリと追い詰めているような、焼かれているような。

そんな焦れん晒されていた。


ロードにも実際にそれ程余裕はないが、

とにかく優しくしろ!と仲間に強く言い含められた。


セリに嫌われない、拒否されないようにはしたい。

それでも感情が抑えられないほど求めている。


目の前の番を

我慢した。


一時よりずっと

病んでても、元気な時でもずっと。死んでからでさえ一緒にいたい。

そう浮かれるくらいには。


それなら今を少し、我慢する。

遠回りにでも、セリの心に近寄る努力をする。


下半身の方も我慢させる。

愛しさを伝えるのは我慢などしない。


じっと様子を観察する。拒否の色はないが

こちらを見ない。指を絡め見つめるに止めた。


ロードを前にして、セリはひたすら顔を背けていた。

嫌ではないのだ。

それでも本能が逃げ出す。


逃げられないと知っていても。

見ない相手は楽しそう


そろりと顔を向ける


ふわっと優しいが、

だめだと思った。


もう逃げられないから。


ギュッと抱き寄せ首元に顔を埋められた。香りを嗅ぐ



これが欲しかった匂い。

首に顔を埋めた。


セリが俺の頭を撫でるのは

それしか知らないからと

受け入れていると示してくれている。


可愛い番だ。

ほわっと感情が舞い上がった。


準備だけだと

言い聞かせながら












ドナテラ?→エクセラ ぎおーねでした。



ヴァルト




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