石田治部少輔三成さま命(笑)💖

上月くるを

第1話 自称歴史小説作家の内向的独白(笑)


 

 あの……この際ですから、思いきって、シレッと言わせていただきますね。(笑)

 こう見えてわたくし、一応、歴史小説の執筆をライフワークにしておりますのよ。


 え、まったく、そう見えない? スーパーの安売り場に群がっている、ごくフツウのオバサンにしか? どこからどう見ても、作家の「さ」の字すらも匂って来ない?


 ま、うれしい! そう思ってくださる? 

 それこそがわたくしの狙いなんですの!


 平日の昼間、大した用事もなさそうな顔をして、ぼんやり住宅街を歩いている。

 近所の住人であることは、バッグなしの軽装からして一目瞭然だし、冬など室内着(ときにはパジャマのことも ( ;∀;))にチャチャッとダウンを羽織ったりして、その事実を知られていないと思っているのは本人ばかりなり、だったりして……。(笑)


 けれど、そんなオバサンの毛糸の帽子の下では、胸キュンの凛々しい若武者が颯爽さっそうと名馬を疾駆させていたり、豪奢な小袖の姫が月見櫓つきみやぐらから寒昴かんすばるを仰いでいたりなんかするわけですよ。ついでに心ときめくコイバナも煌めかせたりして……。


 手拭いを手縫いしたマイバッグに食品や日用品をドサドサ放りこみ、生活感丸出しでポクポク歩いているオバサンが、じつはそんなことを考えているなんて、世の中のだれも想像しないわけでしょう? それが何ともかんとも、痛快で、痛快で。(*'▽')


 そうねえ、寝ても覚めても、ふたつの時代を行ったり来たりして生きているようなものかしらねえ、わたくしら歴史小説作家って。あ、あくまで自称(笑)ですけど。


      *


 でもね、これがまた便利なんですよねえ。(@^^)/~~~~~~


 たとえば現実社会でありがちな、小さな出来事が起きたとするじゃないですか? 

 スーパーのレジに並んでいるとき、うしろの人の籠にグイグイ押されたとか、ぼんやりしていて横入りされたとか(笑)、レジで卵や林檎を粗雑に扱われたとか……。


 そういうときはね、得意のくノ一忍法で戦国時代へ飛ぶんですのよ。ふふふふ。

 伊賀者だったり、甲賀者だったり、武田信玄の三ツ者だったり。ときには、小田原の北条氏が抱えた軒猿のきざるの一員になってみたりするのも結構でございますわねえ。


 お武家でも町娘でも好きな人物に変装して「無礼者! 手打ちにしてくれるぞ」「そんな不作法では、わたくしどもの城下では商いなどいたさせてもらえませんよ」胸の内でつぶやけば、目の前の些事は気にならなくなるという寸法でございまして。


 ね、なんとも便利な現実逃避……。

 否、隠遁術ではございませんこと?

 

 🧢🧥👝🌞🥚🍎🏯👘(=^・・^=)








 


 

 


 


 

 

 


 


 

 


 

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