8.
次に目を開くと、わたしは――草むらの上に、仰向けで寝転がっていた。最初に目に入ったのは、パンの見た目をしたわたしのサポポン。
「うっ……ここは……?」
『こむぎっ、大丈夫!?』
目を覚ましたわたしに駆け寄るサポポン。その横で――わたしを覗き込むのは、会ったことのない一人の女性の顔があった。
水色の、パーマがかった髪を揺らし、おっとりとしたような顔で覗くその女性は――
「……ああっ、起きたみたいやね?」
「あ、あなたは……? わたし、あのとき――」
完全に意識を取り戻したわたしは、起き上がり――わたしが置かれた状況、つまりは今まで意識を失い、倒れてしまっていて――目の前の背の小さな、おっとりとした水色髪の女性へと面倒を掛けてしまっていたことに気がつくと、急いで立ち上がる。
「ウチは隣町、
魔法少女という単語が出たこと。そして、同じく魔法少女である八坂さんの名前が出たことから、彼女もまた――魔法少女なのだろう。それも、八坂さんと知り合いの。
それなら、この状況にも納得がいく。あんな攻撃を受けたにも関わらず、わたしの身体にまだ、魔法少女としての力が残っているように感じるのにも。魔法少女としての死を迎えていない……つまり、まだあのネガエネミーに負けていないということに。
さっき、白い光線に撃ち抜かれたとき――八坂さんも一緒に、あの攻撃を喰らっていたはず。いくら、わたしなんかよりも強い彼女でも、あの状態からわたしを助けるなんて不可能なはず。
そんな絶体絶命のピンチの中、何故生き残っているのだろう? そう思ったわたしだったが――きっと、その時に駆けつけて、助けてくれたのが、目の前の水色髪の女性――蓮見さんなのだろう。そう思い、わたしは――
「あのっ、助けていただきありがとうございます。おかげさまで助かりました……」
わたしは言うと――彼女は、首を横に振りながら、
「いやいや、助けたのはウチじゃなくて、ウチをここまで連れてきてくれた
都市伝説との戦いで魔法少女として
「ところで、他の皆さんは一体どこへ……?」
周りを見ても、自分と蓮見さんの二人しかいない。八坂さんと、わたしたちを助けてくれたという
「あの二人なら、こむぎちゃんが目覚めるまで、『ラプスモード』で
初対面でいきなりちゃん付けで呼ばれたり、『ラプスモード』という初めて聞く単語に少し驚きつつも――さらに、驚いたのは――
「ちょっと待ってください。……
「ネガエネミーの
みんな――魔法少女であるわたしたちが守るべき、関係のない人々に、たった今、危険が迫っている。……わたしが倒れていたばかりに。
「……わたし、行ってきますっ! これ以上負担は掛けられませんし、急がないと――」
「……身体はもう大丈夫なん?」
心配そうな目で、わたしに問いかける。……さっき、諸刃の剣だと言っていた――『チャージ』のせいか、まだ身体が重い。
しかし、こんな所で休んでいられない。それに、蓮見さんにこれ以上、心配をかける訳にもいかない。身体の不調をかき消すように、わたしは――
「……はい! みんなが頑張っている中、わたし一人、休んでなんていられませんから。……蓮見さん、ありがとうございました!」
「頑張ってな〜」……という声と共に、手を振り、見送られる。
わたしは――『
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます