55 バール塔にて、エレインに会う。
其の頃、バール塔にて。画レ虚、バルマ、カローナは、上へ上へ登っていた。
千の階層から成る、天まで届く塔らしい。何の為に誰が、何時頃、建てたものなのかさえ不明で或る。
塔には不思議な魔法道具や、科学道具、神話に関する考古学的に意味の或るであろう、歴史書や神話があり、当時の絵や、映像の一部が残っていた。脳に直接体験させるかの様に、出来事を記録する技術がかつて此の世界にはあったらしい、その様な断片的な史実が残されていたので或る。
各階層ごとに現れる、魔物や奇怪な妖怪をなぎ倒し、三人は先に進んでいく。
其の最中で見える、此の世界に関する歴史の残像。
かつて此の反転世界を創り出した初代ファルスと、世界の仕組み。
其れが、見える。
奇跡は一度しか起こらない???。
奇跡でさえ、常識と成って終えばそれは、必然にさえ思えるだろう。
コルクボードに肉を張り付けて鑑賞する悪い癖は治らないようだな。
人間の感情を肉としか思っていないような胸糞の悪い奴だった。
悲しみ嘆き怒り狂う人間を見て、おかしいね面白いねと、笑っていた。
まるで映画でも見て居る様に、あの男は笑っていた。
しかし、奴を憎んだ処で何も変わらない。
現状は、強い奴が勝つという此の世の理を外れる事は決してないだろう。
「有名になる事だね。」
妖精はそう言って、画レ虚を見つめた。
「有名に・・・。」
「そうだね。具現化の能力は、知性或る生き物の信用で其の、具現化の実態が濃く鮮明に成る。例えば、悪魔でとか、天使だとか、そういった空想上の存在は、其の大衆に広く知られているという、認知が、生み出した、粒子、ゲーテの作用のみで生み出されたものなんだ。けれど、ゲーテは物体には干渉できない、感覚や五感に干渉しない。其れは、魂、肉、影、精霊に作用して、其の運命に干渉する。例えば其れは不慮の事故だとか、死期が早まるだとか、幸運を引き寄せたりなんかするが・・・。信用が無ければ一瞬にして消えてしまう呪いの一種さ。其れに、君の具現化の能力が合わされば、君の力更に強大な物に成るだろうね。」
知名度が上がれば、上がるだけ攻撃力が上がる。
其れが、イメージインフルエンス。
の能力。
この世にないものを作りだす、能力の強化されたもの。
他人からの信仰心により、魔力が増す能力。
画レ虚宣伝します。
反転世界の中では、有名になったスカイのメンバーだったが、其のメンバーの名前が世間一般に広まる事は無かったし、反転世界以外では殆ど誰にも知られていない存在だった画レ虚は、インターネットを使って、地球で活動を行った。
その結果、結構有名になっていた。
「此の力を使えば、地球なんか簡単に征服出来てしまうのでは・・・?。強力な独裁を可能にする力だ。」
画レ虚は言った。
「そうだね。所詮は最弱の星地球だ。簡単に制圧できるだろうね。」
腐れ外道に何度も頭を殴りつけられる感覚。
無能のクズと、結果も出していない奴に発言権は無いと、そいつは威圧してくる。
圧倒的実力者の威圧だ。
いわば売れない作家なんざ、糞以下、自分は売れている、賞も取っている、実力が或るとふんぞり返って、其れは偉そうに、さも親切そうに、講義する。鼻もちならない奴だ。そんな糞みたいな講義を聞かされている自分自身の境遇に絶望さえした。
「他人の言う事なんて信用できたものか。己の道を貫くまでだ。」
誰がなんと言おうと正しいと思った事をする其れだけだ。
権力者が言う事なんか信じない。
僕は、僕だ。
有名人に成ろうが、未成年であろうが、成人であろうが、薬物中毒であろうが、殺人犯であろうが、僕に変わりはない。
其れは覆しようのない事実だ。
なのに・・・。如何して、貧乏籤を引く嵌めになったのか・・・?。
未だ謎は残っている。
分かっている。
ファルスの伝道師として最後迄役割を果たすんだ。
其れが務めだ、一度は脱線したが、己の信念を思い出した。
大事なのは自分の意志だ。
めげていてはいけないのだ。
私は次なるファルスを迎えるのだ。
そう、あの予言書どうりに。
危なかった、危うく、他の候補者に、能力者に精神を乗っ取られて、洗脳される処だった。
私は、エレイン決して屈しない。
「私が間違っていた画レ虚。ゲーテの力に騙されるな。あれは、只のまやかしだ。そういった迷信なんだ、有名になる必要なんざ何処にもないんだ。自然と向かい合ってその声を聴いて、只、考え、理性によって探究していれば何ら問題は無いのだ。」
興行収入。
確かに、世界は偉大な発見や作品を金に換えようとする。
「万人受けする作品なんて、誰にだって書ける。くそくだらないありきたりな作品だ。観たくもない、方法論で書かれたくだらない正義も悪もインチキで子供騙しの鼻くそだ。」
エレインは言った。
誰からも愛され、本当の意味で有名になり、評価されるとはどういう事だかわかるか?。
お前は、欲に眼がくらんで、欲の為に書いているだけなんだ。
そんなのでは本当の意味でいい作品は書けない。
例え売れたとしても、其れは表面上だけだ。
本当の意味の価値は其処にはないのだ。
「作家だったらわかるだろ?。御前は只の偽物さ。エンターテイナーだったら分かるだろ。御前の作品は面白くないんだ。そう、くだらない、何処か白々しくて安っぽい。」
ケンウッドは、地球では世界的に有名な映画監督でかつ脚本家であった。
しかし、ケンウッドには分からなかった。
人間の心が。ケンウッドは心の知らない映画監督だった。
情の通わない作品ばかり作っていたが、其れが売れた。
世間はケンウッドの無邪気なまるで子供の様な作品に心を奪われたのだ。
そして、世界一有名な人間になった。。ケンウッドを知らないものは地球には居ないのだ。
チキンナゲットやハンバーガーを貪り喰う化け物の様なケンウッド。
世界はケンウッドに犯されていた。
安っぽい人生だ。くだらない人間だ。
此れが大量生産大量消費の社会が作り出した幻の幻影か。
何処に行っても、大衆は扇動され、踊らされ商品を買わされる、そういう風に宣伝され、創られたくだらない話をみてゲラゲラと笑い転げる。
悪魔の様な文化だ。
森も林も草木も無い。海は汚れ、自然は壊され騒々しい喧騒は発狂しそうにさえなる。
最悪の文化だ。
文明が進んでいる???。
本当にそうか、こんな野蛮な豚どもに、善悪の判断基準などあるのか???。
如何か、奴らに裁きをそして本当に実力があり、貢献している、本当の意味で素晴らしい人にこそ祝福を上げてくれ。
「画レ虚よ。人間とは恐ろしいものよのお。」
カロ――ナはそう言って、泣いていた。
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