51 冥界の番人オースに、パーフェクトイメージにより具現化した、原初の神の一人メノスの具現化で対抗した。

 オースの部屋。


 巨大な、五十メートルを超える扉だった。


 中には、巨人を思わせる、目つきの鋭い、綺麗な筋肉の付き方をした、目の青い、鱗のついた服を着た、人がいた。


 「貴様等、の罪は理解している。あの扉を開き、命を与える研究に携わったのだろう・・・。マクベスの奴の罪状に比べればましなものだ・・・。」


 「この姿で話すのもなんじゃ・・・。」


 と言って、次の瞬間、手のひらサイズの大きさになった。


 「おぬしらには、償いとして、アヌスの部屋で、五千年の終身刑だ。」


 画レ虚は言った。

 「其れは厭だ。絶対嫌だ。」


 「其れ等ねば・・・、如何したいのじゃお主の願いを訊こう。」


 「私には、やるべき事が或る。このような収容所でぐずぐずしている暇などないのだ。」


 「ほほう。気の強い奴だ。」


 オース様。


 扉から、彼の秘書と思われる、ものが言った。


 「其処の三人は、最近反転世界の四代勢力の一つになったスカイとかいう組織のメンバーだそうです。」


 「貴様らがあの、マクベスを倒した。馬鹿らしいわい。まあ、良い。此れも奴の計らいだろう。神で或る儂に、お前等を引き合わせる為のな・・・。」


 こっちに来い。


 お前等を試す。

 「ファルスノ革命者に成りえるのか、この眼で試させてもらおうぞ。」

 

 

 オースが勝負を仕掛けてきた。


 試しの試練。


 あるはずのない、煉獄の地獄が、三人を襲った。


 画レ虚、カローナ、バルマは、彼の幻さえ超越した実在の焔の責め苦に悶え苦しんだ。


 「神代魔法 オースの槍。」

 全てを突き刺し、滅ぼす。神速の槍。


 魔性の笑みを浮かべるオースは、何処か魅力的でさえあった。

 「メルトダウン エイト。」

 オースの神代魔法だ。


 此の儘やられている訳にはいかない、カローナは、あの敗北以来密かに特訓していた、熱魔導、命を燃やす、赤玉の焔を披露してやろうという気になった。


 「温度操作 エントロピーを無限大の彼方へ葬り去るそして、其の反力赤玉が出来る・・・。喰らえ、嘆きの赤玉 レッドインパルス。」


 オースは、喜ばし気に、このくらい出来なければ話にならんといった風に、それらの攻撃を、跳ね返した。其の、空間召喚魔導によって。


 「氷の大地。鋼の錬成。あらゆるものを封じ込める。透明ハンド。」


 赤の魔道の中でも、過去最大級の大技でさえ、神の前には無力。


 赤玉は、透明なシャボン玉の様な、ボールの中に閉じ込められてしまった。


 くっ。あれだけ修行したのに、何の役にも立てないのか・・・。


 其の、攻防の合間に、画レ虚は、龍鬼に魔装し、巫女踊りの具現化の舞により、攻撃を浴びせる。


 バルマの、無の領域の悟りの境地と、連帯し攻撃する。


 「やったか・・・。」


 オースの姿は、二人の激しい、連撃で、見えなくなっていた。


 煙が辺りを覆う。


 しかし・・・。


 「まっまさか・・・。そんな事って・・・。」


 あれだけの攻撃を喰らわせて無傷だなんて・・・。


 二人は唖然とした。


 此れが、神代の神の一人の力・・・。


 「ん?今なんかしたか??。」


 此れが、世界。


 「こっちも行かせてもらうぜ。」


 画レ虚がぶっ飛んだ。


 今・・・。此奴何をした。


 何も見えなかった・・・。


 速すぎて何も・・・。


 見えなかったのだ。


 無の境地。あらゆる観念の、最適化。云わば、効率化の中でも最大の効率化、無の境地、悟りでさえも、奴の攻撃は、見えなかった。


 いや、正確には、あのたった一瞬の間に、確かに彼奴は、画レ虚は、殴っていたが、腕が消えていた。一体、あの間に何撃の打撃を喰らわせたのか・・・。


 「画レ虚おおお!!!!。」

 画レ虚は、血さえ出て居なかった。無傷だったのだ。


 此れは・・・。



 時間差で、死ぬ奴だ。


 此の儘では、私は死んで終うだろう。画レ虚は、思った。


 何か、出来る事は無いか。


 私に隠された力はないか・・・。


 未だ目覚めて居ない力。


 死の淵で画レ虚は思った。


 そして祈った。すると、門から、勾玉之剣巫女と言う、女が出てきた。


 「此処は一体・・・。」


 「此処は・・・。代々、受け継がれてきた、其の能力、パーフェクトイメージの継承者の魂が集まる場所。普段は出て来られないのだけれど、今回は、君の強い祈りの力と、命の危機を変えて本の、数秒間だけ、出て来られた・・・。」


 彼女は、言った。


 「この技を授けるよ。魂の具現化 リアライズソウル。其れによって肉体超えた想像の君に、魂を宿らせられる。物理攻撃は無効になるって訳さ。只・・・。オースには勝てないだろうね、奴は、冥界で罪びとを裁く神。精神攻撃、魂攻撃も、神代の神々の中でもトップクラスだ。」


 時間だ。


 と言って、彼女は手を振った。


 此処は。


 「画レ虚・・・?。」


  バルマは泣きそうに、私を見た。


 「画レ虚が生き返った・・・。」


 状態は絶望的。勝ち目は、無い。只・・・。


 幻影魔導で、オースをあそこへ連れていく。其処で決着をつける・・・。


 「少し時間を稼いでくれ。とっておきの技が或る・・・。」


 あの、画レ虚とかいう小娘・・・。肉体が物質ではない、イメージ体の存在か・・・。


厄介な相手だが、儂を誰と思うておろうか。イメージ体との戦闘は、寧ろ儂の専売特許じゃよ。


 「無量光 連打。」

 バルマの、超高速連撃。


 「赤玉 ピストル。」

 カローナの渾身の赤玉をピストルの弾に見立てて、指から発射する、銃撃。

 

「ふふふふふふ。」

 オースはそれらをいとも簡単に躱し、跳ね返し、無傷だ。


 「いいぞ!!!.」


 オースと言えど、この世界の一部。必ず有効な攻撃は存在するはずだ。此の、神代魔法ならばどうだ・・・。


 「リアライズ・オブジェクト。」


 「僕に何のようだい???。神様を呼ぶだなんて無礼な術者よ。」

 出た。


 此れが、歴代のパーフェクト・イメージの能力者の具現化したという、神代の神 メノス・・・。


 「どうしてメノスが此処にそんなはずが・・・。想像の女神だぞ。この世界のバグだぞ!!!。」


 あの、オースでさえ、この有様だ。


 正確には、メノスの具現化に過ぎない。今の私の実力では其の、ニ十パーセントの力を引き出すので精一杯だ。


 「塵と成れ。デバイド。」


 オースがバラバラに分解された。

 周りは唖然とした。


 「何なんだ彼奴は・・・。」


 「・・・???。」


 「何だ。この程度かよ。メノスううう。」


 オースは、引力魔法で身体を一か所に集め、奇妙にオースの肉体を再錬成し、精神を其処に移した。


 「創造の女神さまがきいて呆れるぜ、所詮は、餓鬼の能力じゃ、本来の力の数割しか能力を発揮できないようだなあああ。」


 此れでも駄目なのか・・・。しかし、ダメージはあったはずだ。


 「反力魔導を使います。シェルターにお入りください。」


 メノスはシェルターを錬成し、画レ虚達三人を避難させた。


 「反力光線生成 其の肉となる命の泉を形成、魚の骨と肉を形成、巨人の肋骨を形成、巨人の脊椎を形成、多量の水素と、クオーク、レプトン、ニュートリノを形成、その間に、ヒッグス粒子を充満させます。 さあ、冥界への道見えてきました。 あの世へ連れて行きましょう。 デス・リッチ。」


 一体何が起こったのか。


 其処には、オースの傷だらけの姿があった。


 「危ない・・・。殺す処でした。肉と精神を再錬成します。」


 「しかし、画レ虚さん。私を召喚した代償は大きいですよ。分かりますね???。右目を頂きます。」


 此の、力。リアライズイメージには代償が或る。中でも、実在する人物を召喚する召喚魔導は、其の代償が大きい。


 「ああ、分かってる。」


 画レ虚は其れにより右目が無くなった。


 具現化した、目を付けているが、肉としての眼は無くなった。


 オースは言った。


 「なるほど、本物の様だな。其れならば・・・。お前たちの、罪は免除しよう。代わりと言っては何なのだが、此のことは外部に漏らさないように、もし、第三者に言うような事があれば・・・。分かっているな・・・。只、親切心から言っておくが、お前たちは、未だ弱すぎる、メノスを呼び出さなければ、只の雑魚だ、あのマクベスが負けたのが理解できないくらいに、幼く、術も未熟だ。一度、バール塔を登ってみるといいだろう。あそこは、もともと、神が人間を強くするために創った、試練の場所のようなものだ。きっと君たちを強くするだろう。」

 

 「禁忌実験により創られた人間たちは、どうして、マルコトリオンを発さなくてはならないのですか???。」


 画レ虚は訊いた。


 「其れは、言えない。世界システムにより、そう決められているからとしか。それ以上の事は、守秘義務が課せられている。喋ろうとすると、口が、音を発するあらゆる機関が、其れに関する情報其れそのものが、世界システムにより抹消されるから、知っているものは、ごく一部の神と人間だけだ。」


 世界システムとは一体何なのか・・・。


 「其れについても応える事は出来ない。神でさえ、其の真実を知るものは居ないのでは無いのかと言われている。」 

 

 

 大樹に覆われた樹海の中で、森が海に沈んでいた頃の夢を見た。


高い空は見えなくて、此の水の上には何が或るのだろうと、水中からずっと水上の世界の夢を見ていた。


其の水の下は真っ暗で、深くて、更に深くへ行けばどうなるのだろうと、其の奥へ潜っていくと、其処が、暗闇の核に成っていた。


あらゆるものは重くなり、潰される。


 水上に出ると、其処には陸があった。陸には、森があった。


 陸の更に上には、太陽があって、光があった、空から降って来たあの灯があの熱い巨大な太陽という火球によってもたらされているのだと知った。


更に、高い青空があった。


空高くへ飛ぶと何処へ行くのだろう、其れが気になって飛んだ、飛んで更に遠くを目指すと、死んだ者が多数いた。


空の果ては高温で、熱くて、或る一定の高さからは、焼け死ぬものが増えた。


其処で、或るものは、身体を熱に耐性を付けて、或るものは、乗り物を創った。


そして、其の果てに行くと、丸い星があった。


此れが星か。丸い形をしている。


更に遠くに太陽の光を反射して見える星々が見える。


其処を旅していると、銀河の真ん中に真っ暗なブラックホールや、中性子星、重たいものが集まっている所に行った。


海の底に戻って来たかの様な場所だった。


宇宙には光が沢山あったが、その分、それ以上に闇が多かった。私は闇を照らそうと光になった。宇宙が光り輝くように。

 

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