(二)-16

 ナオミとドナルドは千代の話をここで遮って取材を切り上げることにした。

 千代からはもっと話を聞きたかった。しかし、次の取材のアポを取っていた。それなので話に区切りがついたところで、中断することにしたのだ。

 千代とはもちろんもう一度会う約束を取り付けた。

「ごめんなさいね。また連絡するから」

 ナオミはそう言ってメールアドレスの入った名刺を千代に渡して、別れを告げた。


 早足で駅へ向かう途中、ナオミは息を切らしながら歩くドナルドに「アポの時間は十三時よね」と尋ねた。

「ああ。あと一時間しかない。間に合うのか」

「ギリギリね。急ぎましょう」

 そう言うとナオミは駅へと急いだ。

 そして東急目蒲線で目黒まで出ると、山手線に乗り換え、新宿で降りた。


(続く)

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