第2話

「俺の名前は斎藤一真、17才の探偵さ」

青地のメッセージボックスに白抜きの文字が一文字一文字順番に表示される。

 はぁー

 画面を見つめながら、俺はまたため息をついていた。

 こないだは医者で、その前は弁護士だったかな。

ゲームの世界はありとあらゆる職業で溢れかえっている。現実には存在しない、魔術師とか幻獣といったものもあるけど、これだけあれば選びたい放題だ。

 いっそゲームの世界に生まれてれば、悩みなんてなかったのかもしれないな。そんな自嘲を今日もしてみる。

いつからだろう? こんな風に現実を逃避するようになってしまったのは……

 多分俺が一真ではなくてKajumaになった頃くらいからだろう。

 真と一恵から生まれた一真はKajumaに転生を果たしました。めでたし、めでたし。とはいかないのが現実世界だ。

 俺はいわゆるひきこもりで、それもガチのタイプ。トイレ以外は部屋から出ない、出たくても出れない弱虫のひきこうもりだ。現実世界ではそれ以外でもそれ以下でもない。

動物占いならこうもり、夜行型で小柄なのもそっくりだ。

 することといったら、起きて飯食って、ネットして、寝て、起きて、ゲームして、飯食って、寝る、その繰り返し。生産性なんてあったものじゃない。

ビバ休み方改革!

よくチャットなんかで

「私ひきこもりなんです」

なんてメッセージを送ってくる奴がいるけど、話を聞いてみると大体はソフトなひきこもり。そういう奴らを見ると腹が立つ。ガチ勢をなめんなっつーの。

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