第5話:溢れ出す呪力
「ああ、恋焦がれるとはまさにこういうことなのだな。憎い相手の心臓こそ、私が欲するモノ。愛憎は表裏一体。私は『悟り』を開いたようだ。真に欲するモノは創造主:Y.O.N.Nだっ!」
アンドレイ=ラプソティは産声をあげる。片膝をついたまま、顔と両腕を天に向ける。アンドレイ=ラプソティの両目はギラギラと輝き、ついには天が真っ赤に染まる。しかし、実際にはアンドレイ=ラプソティの両目に縦横無尽に血が充満し、彼の視界を真っ赤に染め上げたのだ。だが、アンドレイ=ラプソティが真に欲するのは視界ではなく、実際にこの世を紅く染め上げることである。だからこそ、地上に幸せを運ぶはずの天使では無く、悪魔として地上に不幸の雨を降らせる側になろうと心に誓ったのだ。
そして天に突きあげた両腕の先にある両手で天界自体を地上に堕とそうとしたのだ。しかし、今はまだその
アンドレイ=ラプソティが願えば願うほど、身体と心の奥底から
「これが私の新しい
アンドレイ=ラプソティがそう裂帛の言葉を放つや否や、彼の肩が盛り上がり、金属製のパーツを弾き飛ばす。内側から爆ぜるように飛び出したのは新たな腕であった。アンドレイ=ラプソティは計4本の腕を持つことになる。そして、その先端にある4つの手にそれぞれ4色に輝く
「何者かの介入があったと推測シマス。しかしながら、ボクが創造主:Y.O.N.N様から与えられた使命は、天使であるアンドレイ=ラプソティ様を天界に連れ戻すことです。今の貴方ではありまセン!」
アリス=アンジェラは身を翻しながら、4本の腕で振り回されてくる4色に輝く
アンドレイ=ラプソティは4本ある
アンドレイ=ラプソティはギリッ! と歯ぎしりし、口を大きく開く。その大きく開かれた口の奥から一条の
しかし、アリス=アンジェラが地面に着地する間際を狙って、余った2本の
しかしながら、アンドレイ=ラプソティの膂力は異常も異常であった。蹴り上げられた2本の
アリス=アンジェラは体勢が崩れているのを逆手に取り、身体をくるりと回転させて、右足の踵で振り下ろされきた2本の
アリス=アンジェラは覚悟を決める。多少、アンドレイ=ラプソティを傷つけることになっても、彼を止める方向へと動きを見せたのだ。左手を
アリス=アンジェラが出来たことは、今の掌底打ちでアンドレイ=ラプソティを数歩、後退させることだけであった。逆に痛みを感じたのはアリス=アンジェラのほうであり、アリス=アンジェラはだらりと左腕を地面の方へと向けることこになる。
「傷ひとつつけることが出来ないと豪語してくれたな!? その言葉をそっくりそのまま返してやるっ! お前如きが生まれ変わった私に傷ひとつ付けれると思っているのか!!」
「おっしゃる通りデス。ボクはアンドレイ=ラプソティ様を舐めていました。今のボクではアンドレイ=ラプソティ様に傷ひとつ付けることは出来ません。これはボクの願い通りであると同時に、ボクが手詰まりになってしまっているということデス」
「ならばどうする!? 私はお前を殺す気満々だっ! 貴様は私を殺すつもりはないのかっ!?」
アリス=アンジェラは痛む左腕を右手で抑えながら、防戦一方となっていた。アリス=アンジェラの至上命題は『天使のアンドレイ=ラプソティを天界に戻す』ことである。それゆえに異常な状態へと移行しているアンドレイ=ラプソティをどうするべきなのかを未だに決めかねていた。しかし、その逡巡するアリス=アンジェラに一切の加減など不要と言いたげにアンドレイ=ラプソティは4本ある腕の先にある手に持つ
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