第5話 【荒脛巾(アラハバキ)皇国(おうこく)】の【大皇(おおきみ)】、【大臣(おおおみ)】、【大連(おおむらじ)】
【ここまでのあらすじ】
【転移の鳥居】で転移した【蜘蛛神社】にて、巨大蜘蛛二匹と交戦中に、死装束が介入して、巨大蜘蛛達を
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出迎えたのは、烏帽子をかぶり、片膝をついた二人の青年―壮年かも知れないが―だった。一人は橙、もう一人は青の着物を着ている。
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「初めまして。郡山俊英といいます。」
「初めまして。【
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橙の着物を着ている方が、【
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「郡山君には、臨時の爵位―男爵相当―を与え、【蝙蝠山卿】と呼ぶことにする。しかし、立場はあくまで客人のままであるから、特に畏まる必要はないがな。【
若干、時代認識がズレている気もするが、要するに、この国の序列第二位と序列第三位のようだ。
「亡命に関する手続きに関しては、特筆すべきものはないが、君はこの世界のことに関しては、殆ど知らないだろう?」
「政府の暗部に狙われているとかいう理由で、突然連れて来られましたからね。」
「その狙われている理由や相手に心当たりはあるか?」
「自分のサイトに書いた物理学の記事が、進歩的すぎるのが原因らしいのですが、実感はあまりなくて……。」
「どうやらその理由は建前らしい。
「そこまで物騒な国っていう実感はなかったんですけどね……。」
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「出来るだけ早く、表の世界に戻りたいのですが。」
「既に聞いているかも知れないが、両方の世界の時間経過は無関係だから、連中と戦って勝てる力をこちらの世界で手に入れてから、戻れば良かろう。」
「表の世界に戻る手段が見つからなくて、このままこの世界で一生を終えることになったりして……。」
「世界を行き来する手段自体はそこまで難しいものではない。【転移の鳥居】を使ったことはあるだろう?【転移の鳥居】は、任意の空間を繋ぐ魔道具だが、その応用で、世界を行き来することが出来る。問題点があるとしても、起動に必要な魔力が通常の【転移の鳥居】よりも桁違いに多いことと、転移先の時空座標を設定するのが少し手間だということぐらいだ。」
「もしかして、今の魔力では足りないと?」
「その通りだが、魔力は戦闘経験を重ねればすぐに増えていくし、魔道具の作成も適性の高い君なら、それほど時間を掛けずに習得できるだろう。他人の転移に巻き込まれて転移することも出来るが、あまりオススメしない。時空座標の設定によっては、二人の自分が同時に別の場所に存在することになる。それは、世界の法則に反するらしく、対消滅したりするらしい。」
ドッペルゲンガーに会うと死ぬ、ということか。随分不穏当な話である。
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