第13話 皇帝の銀貨

彼は立ち去り

誰もいなくなった その場所に 椅子に腰掛ける


すると・・グオオ・・うなり声


ハッとすると 彫像のワニが 宙を浮いて 口を開き こちらへと迫ってくる

「うわああ」僕は悲鳴をあげて 逃げ出す

ぐるぐると走りまわり

それから

足をとられ、倒れこむ それから暗転


「大丈夫かい?」心配そうな従兄弟の声


「・・・」

「倒れて 気をうしなってたんだ?頭をうってない?」


「・・・あれは夢?」ちゃりん

僕の服のポケットから 音がした 古い銀貨

皇帝の顔が刻まれた 銀貨が一枚


よく見れば・・その銀貨の横顔は あの初老の男の顔

切なげな瞳をした ハドリアヌス帝・・。

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