第11話 会話の後で・・
美しい広大な庭園を歩き出す
静かに 互いに話を交わし合う
それから あのナイル川のワニのいるモニュメント近くの椅子に腰掛ける
懐かしい大切なものを見るように 見つめる瞳
とても切なげに・・寂しげに
誰かが走ってやって来た
「ハドリアヌス帝さま」
「うむ」やや固い表情をしてハドリアヌス帝は答え
部下が僕をちらりと見た後で小さな声で話し出す 「実は・・」
「わかった すぐ参る」ハドリアヌス帝は厳しい顔をして、やって来た部下に告げた
「すまぬが ここで待つがよい」
彼からすれば小さな子供である僕の視線に合わせる為に
腰を下ろしてから 優しく見つめ、話し出す
「部下に そなたの身内を捜せる・・
それから、そこの者 この子になにか飲み物を」
「はい」どこからともなく女官らしき者が来て 彼女は答えた
僕に渡されたのは壺に入った 果実の飲み物 蜂蜜、ミントの葉入り
皇帝ハドリアヌス帝 彼は微笑んで立ち去り・・女官も何処かへと・・。
誰もいなくなった その場所に僕は椅子に腰掛ける。
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