第9話 束の間の出会いと対話

男は話ながら僕を見つめひどく驚いた顔をする

アンテイオキア…

「アンテイノー・・」僕を抱きしめる


「・・いいや アンテノーが こんな子供であるはずがない

出会った頃は まだ子供だったが・・そう」


「だが・・なんと よく似てる・・」涙が浮かんだ その瞳


「珍しい異国の服装をしてる・・どこの国の使節の妻子かな?

心配はいらぬ 身内を探すから」


彼は微笑んだ


美しい広大な庭園を歩き出す


 静かに 互いに話を交わし合う


それから あのナイル川のワニのいるモニュメント近くの椅子に腰掛ける

懐かしい大切なものを見るように 見つめる瞳


とても切なげに・・寂しげに


それは束の間の対話だった。

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