隠したくても隠せない、君の八重歯が突き刺さる!〜次元の狭間に落ちた恋〜
佐藤そら
第1話 環境戦士 喜怒哀楽
出逢いは、今から10年前だ。
偶然見たそのアニメが、わたしの人生を変えてしまった……。
『環境戦士 喜怒哀楽』
20XX年、地球上ではエネルギー戦争が勃発した。
地球温暖化は進行し、限られた地球資源は人々により、大量に消費されていた。
地球はいつしかエネルギー資源の乏しい惑星となっていた。
そこに、他の惑星に棲む生物が外来種としてやって来る。
それは地球の先を行く、もっと環境破壊が進行した星の生物達だった。
地球上から残り僅かのエネルギー資源を奪おうとする外来種。
国同士のエネルギー戦争よりも前に、星同士の争いになるとは誰が予想しただろう。
そんな時、ある研究チームにより、環境破壊に関する驚きの研究発表が行われた。
それは、地球上に眠るエネルギー資源がこのまま取り尽くされていき、更に温暖化が進み、地球上の酸素濃度が低下した時、その相互作用により、人間は思考と感情を失うというものだった。
そう、人だけが持つ『笑う』という特権も消滅する。
人類を揺るがすこの事態に、これを阻止するべく、政府は『環境戦士 喜怒哀楽』プロジェクトを立ち上げた。
彼らの使命は外来種を排除し、地球のエネルギー資源と人間が持つ感情を守ることだ。
選ばれし戦士は、主人公『喜』担当のライト、『怒』担当のリキヤ、『哀』担当のアヤメ、『楽』担当のハヤテである。
ライト「外来種達の言動は、地球人の未来の姿だ! 今ここでエネルギー戦争を食い止めなければ、僕らもいずれ同じ道を辿ってしまう! 僕は、彼らにも喜びの気持ちを取り戻してほしい!」
リキヤ「腹立つ! いっそのこと、俺らも弱い惑星を見つけ出して、エネルギーを奪っちまおうぜ!」
アヤメ「いけないわ! 何であなたは、そんなことを言うの? 涙がでちゃう!」
ハヤテ「僕が笑わせて楽しくしてあげるよ! てか、ライト! 僕とキャラかぶってんだよぉー!」
いつも泣いたり怒ったり、情緒不安定な戦士らを笑わせるのが『楽』担当キャラ、愛すべきハヤテ君である。
『喜』担当ライトに“僕とキャラかぶってんだよぉー!”が口癖の、二本の八重歯がチャームポイントのかわいい少年だ。
ライトは地球のため、人々のためと言うが、ハヤテは、本当は戦いなどしたくもなかった。
楽しく暮らせればそれでよかった。
この戦いで勝利を掴めば、国から高額な報酬が得られる。
貧乏だったハヤテは、母の病を治すため、自分の八重歯の矯正をするため、みんなを笑顔にするため、やむなくこの戦いに参戦を決意した少年だ。
そのため、彼の強化ベルトは、一人だけ壊れかけのままだ。
いつもおどけて振舞う彼は、時折寂しそうな表情を覗かせる。
わたしはどうにも、そのハヤテ君から目が離せなかった。
それは、あの日の記憶と重なって……。
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