せんとうみんぞく 2

 ムツヤ達は冒険者ギルドを出て銭湯へと向かった。賑やかな中央通りを抜けて人気ひとけがすこし少ない路地へ行くとすぐに目的地だ。


「昔はよくお父さんと一緒に行っていたんで、何だか懐かしいです」


 ユモトは眩しい笑顔で楽しそうに言う。


「私も何度か行ったことはあったが、久しぶりだな」


 モモも大きな風呂は久しぶりなので楽しみだった。銭湯へつくとのれんを開けて中へ入る。


「いらっしゃい、おぉ、勇者様じゃねぇか」


 番台の老けた男がアシノを見るなり言った。少し照れてアシノは返す。


「いや、勇者様はやめてくれ」


「大人5人と子供1人ねー」


 ルーはそう言って全員分の金を置く。はいはいと番台の男はそれを数える。


「確かに、左が男湯で右が女湯ね」


 ぞろぞろと歩いていくムツヤ達を見て「ん?」と番台の男は首をかしげて、慌てた。


「ちょっとちょっと、お嬢ちゃん!? そっちは男湯だって!!」


 あー…… と女性陣は声を出した、他の客も思わず何事かとユモトを見て視線が集まる。ユモトは顔を赤くして言う。


「あ、あの、僕は男です!! えーっと、ゴラテって人覚えていませんか? その息子で……」


 うーんと番台の男は考え込んで、おぉっと手を叩く。


「あぁ、ゴラテさんの!! 確かに亡くなった嫁さんそっくりだわ! いや、悪ぃな、お嬢さんにしか見えなくってなぁ……」


「いえ、いいんです。慣れてますから……」


 そんなやり取りがあり、男湯の脱衣場にムツヤとユモトが入る。客は少なかったが、ユモトを見るなり皆ギョッとした顔をしている。


「あ、あの、僕なんていうか、来ちゃいけなかったんじゃないかなーって……」


 ユモトはもじもじとしてムツヤに言う。


「いや、ユモトさん男ですじ、女の人のお風呂行ったらまずいですよ」


「そ、そりゃそうですけど!!」


「ははは、大丈夫ですよー。ここに服入れればいいんですか?」


 ムツヤは笑っていたが、ユモトはうーんと唸っていた。


「そうです、そこに服を入れるんですが」


 ムツヤはさっさと服を脱ぎ始めた、それに習いユモトももぞもぞと服を脱ぎ始める。客の視線が集まっているのは気のせいだろうか。


 ローブを脱ぐと雪のように白くきめ細やかな肌があらわになる、黒いインナーとのコントラストが相まってそれはより映えた。


 ユモトはインナーと下着に手をかける。


――

――――

――――――――

 象は、哺乳綱ゾウ目ゾウ科の総称だ。我々の世界でもアジアゾウとアフリカゾウ、それとマルミミゾウの、2属3種がおり、これらは現生最大の陸生哺乳類である。


 そしてムツヤ達の住む異世界でも生息が確認された。

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